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かつお菜 かつを菜

カテゴリ:やさい

旨みが強く、とても美味しい葉野菜。
食感もしっかり感があります。

ファイル名:20240604tx_001.jpg

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かつお菜  博多かつお菜  勝男菜



アブラナ科の野菜で、カラシナの仲間。

九州北部で以前から栽培されていて、「博多かつお菜」の名で流通します。
博多のお雑煮には欠かせない素材。


アミノ酸豊富で、かつお節の風味が感じられること、または、かつお節でダシをとらなくても美味しい ということから、この名で呼ばれます。


なお、山形県酒田市にも「かつお菜」がありますが、ナバナ系で別の物です。

農研機構 農業生物資源ジーンバンク を参照ください。
https://www.gene.affrc.go.jp/databases-traditional_varieties_detail.php?id=06024




【 来歴 】


江戸時代なかごろから栽培されているようですが、伝来元は不明です。


福岡市箱崎の木村半次郎氏が選抜育成した、「博多改良広茎かつおな」が、栽培の中心になっています。


生前、木村氏が談話で残したと思われる逸話が残っていますのでご紹介。

九州大学学術情報リポジトリ  「怡土・志摩の村を歩く」
第5章 九州大学のキャンパス移転と町・村の変化  23頁目
https://api.lib.kyushu-u.ac.jp/opac_download_md/1655044/p190-214.pdf


楠瀬慶太氏らの聞き取りによれば、地元では「まぎょう菜(不明)」と呼ばれているものを改良して、カツオ菜をつくったとあります。

昭和5年ごろのこと。
しゃくし菜も盛んに作られていたようで、大陸伝来のアブラナ野菜の類は既に多く作られたようです。


福岡では年始の地域独特の食習慣もあって、正月需要がピークなので、晩夏播種の作型が中心となります。

春まきも栽培できます。


意外に栽培しやすく、生育も旺盛。


防除に気をつければ、次々収穫できて、長く楽しめます。

実際に春蒔きで栽培しましたので後述。



【 たべかた 】


よく博多の正月の、お雑煮に欠かせないものと紹介されます。

忙しい商人の家庭では、かつお菜を串刺しして、具材としてすぐ出せるようにしたとか。
どうやら、これがないと博多っ子の雑煮は完成しないようです。


アクが少なく、クセの少ない、うまみの多い優れた葉野菜です。


和え物、煮物のほか、広く葉野菜として和洋問わず使える印象です。

歯ごたえが良いことも、この野菜の優れた点のひとつです。


旨みが強く、嫌なクセはありません。

加熱してもしっかり感が残ります。
煮物にも良さそうです。
和洋中、あらゆる味付けに合うと思います。


食べた印象では、葉柄の、やや堅い部分が、シャッキリ感があって、なかなか美味しいです。

茹でると、葉自体の歯ごたえが残って、崩れることがありません。


茎部分は、とても食感の良い野菜ですので、活かしてほしいポイント。


生でも食べられるようですが、葉柄にわずかなトゲがあって、気になるかもしれません。

塩漬けにしてみましたが、少しクセの残る味わいです。


和食だけなんて、もったいない。

そう思いました。後述。



【 実際に栽培してみた 】


種はネット通販で容易に入手可能です。

「広茎かつお菜」「博多かつを菜」「かつお菜」などの名で出ています。

高菜の仲間は、白菜などの普通のアブラナ科野菜とは交雑しないものの、高菜や、からし菜とは交雑するそうです(野口のタネさん情報)。種取りしたい方は注意して下さい。

春まき、秋まき両方可能ですが、秋まきの方が美味しくなるようです。
秋まきは、播種に失敗したので、春まきで栽培してみました。

使ったのは、日光種苗さんの種。

セルトレーで発芽。
発芽率は高いようです。

かわいいですね。

一週間後移植。

小さいので心配しましたが、心配ご無用。
むくむくと、だんだん大きく育って、特に気を遣うことはありませんでした。

約3週間後。

葉は20cm程度にまで成長。

その後、虫たちに穴だらけにされます・・・・
気にしなければ自家消費分くらいは順次収穫できます。


JA粕屋 北筑普及指導センターの資料によれば、以下の施肥および農薬を使用しています。
虫食いが多く発生することから、商業作物とする場合は、対策が必要です。
参考にして下さい。


施肥 10aあたり

園芸化成250 100kg(元肥)
NK化成2号 60kg(追肥)×2回
尿素46-0-0  30kg(追肥)


防除

播種時 ダイアジノン粒剤 6kg/10a
発生時 アファーム乳剤 1000-2000倍
発生時 モスピラン粒剤水溶剤 4000倍


白さび病対策として

アミスター20フロアブル 2000倍
ランマンフロアブル 2000倍
ライメイフロアブル 2000-4000倍


詳しくは、現在ある指定登録農薬の詳細を参照ください 202405時点



【 自家採種してみる 】


そのまま放置しておくと、スクスクと伸びます。

背丈に近いくらいになると、黄色い花を咲かせ始めます。

まるで、「菜種」のようです。


そのまま放置しておくと、菜種同様、サヤをつけ始めますので、さらに熟成。


ある程度のところで、伐採~乾燥。

十分乾燥しきった所で、種を取り出します。


とても小さな種。

サヤをひとつづつ裂いていたのでは、いつまで経ってもおわりません(笑)。

実は、最初そうしていたのです。
すごく時間がかかる・・・。


両手でサヤを挟んで、モミモミすると、バラバラと種が分けられ、早く種を取り出せます。

ゴミを取り除いて、空き缶などの容器に収納。





【 じっさいに食べてみる 】


順調に育ってきたので、食べてみます。

当初は無農薬状態。
葉の大きさが25cm以上になったものを収穫してみます。


高菜のような大きさにはなりませんが、それでも大きな葉が次々と収穫できて、なかなか楽しめます。



収穫は、葉を根元から手でポキッと折るだけ。

家庭菜園でも出来そうですが、プランターでは全滅しました。
根の張りが良く、小さなプランターでは合わない印象です。


軽く洗って、筋っぽい茎の部分を切り分けます。

大きな葉でなければ、一度に茹でてもよさそうです。


沸騰した湯に、まずは茎から茹でます。1~1分半。


その後、全部を1分ほど茹で。


軽く絞って、下準備完了。

アクは少ない印象です。
食べる大きさに切り分けておきましょう。

今回はゴマ和え。

同じ手順で、厚揚げと煮物にも してみました。
これまた、食感が残って、旨味たっぷりの一品になりました。



感じた点


茎の部分が、とても良い食感。

サックサク(笑)。
葉っぱは特にクセは無く、旨味も強い野菜です。


さらに煮込んだ揚げさんとの煮物では、しっかりと形が崩れることがない印象。

けっこう煮込んでも、良さそうです。


おでんに入れるとか、お鍋にも良さそうな食材。
白菜よりも、しっかりした存在感が感じられそうです。


葉が大きいので、同僚は 包んで食べてみると言っていました。

なるほど、ご飯をおむすび海苔の代わりに包んで、塩とゴマ油で焼いても旨そう。


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