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ワセシロ ばれいしょ農林20号
昭和30年代に育成が開始され、現在も広く栽培される、歴史ある品種です。
大粒の「根系7号」を母、低澱粉価の「北海39号」を父に交配、1974(昭和49)年には、北海道の優良品種として奨励されました。
「男爵」に比べ、色白で多収で優れていることから、当初は、男爵よりも階級が上の「伯爵」との案もあったようです。
さすがに時代遅れじゃない?ということで、色白な早生品種という事で、「ワセシロ」と名付けられたそう。
男爵よりも一足早めに「新じゃが」としてお目見えするようです。
新じゃがチップスとしても、使われています。
澱粉原料用と食用とを兼ねた早生品種として育成されています。
貯蔵中に発生する乾腐病に弱いそうで、普及が遅れた理由になっています。
【 栽培状況 】
歴史ある品種ですが、現在も多く栽培されています。
令和元年 農水省のデータ。
ワセシロは21位となっています。
産地は北海道が主と思われます。
【 栽培してみた 】
草勢は並の印象。
90日目にはかなり枯れていました。
外観も白っぽいように感じます。
表面は、とてもなめらか。
1個の大きさが、かなり大きい印象です。
1株から5~8個ほど収穫できます。
早生ですので、もう少し早植えが向いているのでしょう。
奇形果が数点ありました。
じゃがいもでは、珍しいなと思います。
でん粉などの加工用途に使われるのでしょう。
ボールペン先のような黒い穴がある個体も多くでました。全体の約1/5ほど。
しかたないので、廃棄となりました。
一般には、早生としてはとても多収で、密植に向いており、外観が良い品種とされています。
空洞果は少なく、裂開しにくいとされています。
失敗の原因は、不明です。
【 食べてみた 】
まずは、蒸してみます。
粉質という評もありますが、案外しっかり断面が残る印象。
食べてみると、ホクホクな感じで、崩れながら喉を通っていく感じ。
甘味と、じゃがいもらしい美味しさが感じられます。
でん粉価が低い、というのは食べると感じられます。
フライ適性も高そう。
見た目は、しっとり系ですが、果肉の印象は違います。
面白いものです。
煮物でも、程よく崩れる感じで、美味しくなるなと思いました。
肉じゃがにしてみました。
蒸したものを最後に和える方法で調理。
味の浸みこみは少ないですが、お芋本来の美味しさを味わえます。
クセは少なく、味わいの点でも、男爵より良い印象でした。
反面、なぜ男爵薯が今も人気なのか、判る気がします。
面白いものです。
栽培の点では、経済性に疑問符も残りました。
耐病性の点では、近年の対策品種には及ばないと思われます。
ポイントを押さえれば、早生で多収なこともあって、経済作物として期待されます。