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津之輝 つのかがやき 津の輝き
露地で1~2月に成熟する、満足度の高い柑橘。
加温施設栽培では12月中に成熟します。
芳香も良く、糖度もあって、良食味柑橘です。
3月上旬ごろから出回ります。
品種名に「津之」が付くのは、「津之輝」「津之望」「津之香」があります。
長崎県南島原市 口之津(くちのつ)町に、農研機構「カンキツ研究口之津拠点」があり、ここが育成地となった品種ですので、住所の「口之津」読みを、一部ひっくり返して名前にしたのでしょう。
口之津は、南蛮船が来航した港であるほか、イルカウォッチングのスポットでもあります。
食べやすくて、美味しい柑橘ですが、同時期出回る「紅まどんな(あおか)」の陰にかくれやすい所が玉に瑕。
【 品種登録情報 】
農水省に品種登録されています。抜粋し転載。
作物区分 果樹
農林水産植物の種類 Citrus L. (和名:カンキツ属)
登録品種の名称 津之輝 (よみ:ツノカガヤキ )
登録年月日 2009/03/19
育成者権の存続期間 30年
品種登録者の名称及び住所
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 (305-8517 茨城県つくば市観音台三丁目1番地1)
・・・果実の重さは中、果皮の色は濃橙、油胞の大きさは中、油胞の密度は中、油胞の凹凸は凸、果面の粗滑は中、果皮の厚さは極薄、果皮歩合は極小、剥皮の難易は中、じょうのう膜の硬さは軟、さじょうの形は中、さじょうの大きさは中、さじょう(果肉)の色は濃橙、果汁の多少は多、甘味はかなり高、酸味は中、香気の多少は多、種子数は少、発芽期はやや早、開花期はやや早、成熟期は早、隔年結果性は中、浮皮果の発生は少、裂果の発生は中、貯蔵性は中である。出願品種「津之輝」は、対照品種「宮内伊予柑」と比較して、果実の重さが中であること、果皮の厚さが極薄であること等で区別性が認められる。 対照品種「せとか」と比較して、葉形指数が極大であること、果実の形が扁球であること等で区別性が認められる。
「葉形指数が極大」とあるのは、葉の長さ、葉の幅が大きいという意味です。
皮むきは比較的容易で、画像で見る印象とは違います。皮浮きはなく、種なしで、薄皮もまるごと食べられるという、近年の人気傾向をしっかり押さえた優良種です。高糖度で香りも強く、心地よい印象を残します。
【 津之輝 の 時代背景を考えてみる 】
「津之輝」は、2009(平成21)年の登録品種です。
「清見×興津早生(おきつわせ)」と「アンコール」の交配で、清見ファミリーの次世代品種。「清見」の孫にあたります。
キャラクターとしては、ミカンのようでいて、濃厚なオレンジ似の香り。
食べやすさという点でも、申し分ない存在です。
「みかんライクに食べられる柑橘」だな、といつも思います。
スペシャル感が薄い、という所が、この柑橘の押しの弱さになっているように思います。
たまたまですが、同年に発表された、「愛媛果試28号(あいか/紅まどんな)」と、つい比べてしまいます。
ゴージャスな印象の「紅まどんな(あいか)」と比べると、地味な存在にも思えてきます。
【 じっさいに食べてみる 】
テニスボールくらいの大きさ。赤味のある濃い橙色の果皮。
デコボコが少なめな外観。
おしりの穴の形状は一定ではないです。ネーブルに似たような形のものもあります。
皮浮きはありませんが、手で簡単に皮むきできます。
うす皮(じょうのう膜)も薄く、温州ミカンのように気軽に食べられます。
種にあたる事は少ないと思います。
甘味が強くなった、温州ミカンのような味。
香りはとてもしっかりしています。
タンゴールには、味がオレンジに近いものと、ミカンに近いものがあります。
「津之輝」は、ミカンに近い味わいの柑橘。
何度か食べていますが、12月入手の施設ものは、酸味が強めの個体があるかもしれません。
減酸は早い品種とされますが、酸味が強くても、心地よい食後感でした。
202308改