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ブドウ 高尾(たかお)
科:ブドウ科 Vitaceae
属:ブドウ属 Vitis
ブドウ属の種類は多く、北米、東アジアのほか、インド中東など幅広く自生もしています。
日本では、いわゆる「ヤマブドウ」もありますが、現在主力となっているものとは別系統です。
ブドウは、生食用と、加工用(ワインなど)の品種があり分化しています。
現在、ワインのほか、生食にも使われる品種のルーツは、ペルシア、コーカサス(ロシアの南部)あたりと、北米産のものが元になっています。
【 生食用ブドウ の 生産状況 】
近年のぶどう栽培面積の多い品種をピックアップしてみました。
2001年~19年間の栽培面積推移。
ご存じの通り、栽培面積が急増中のシャインマスカット。農研機構広島安芸津支場生まれ。2006年に品種登録されています。10年間で栽培面積が12倍になっています。
東京市場の、kgあたりブドウ平均価格 隔年データ。
シャインマスカットの一人勝ち状況かというと、そうではないようです。
デラウエア・巨峰だけでなく、すべてのブドウ平均価格が上昇しています。
ブドウ全体が人気沸騰中と考えた方がよさそうです。
シャインマスカットはkg単価の点でも群を抜いています。
シャインバブルはもうしばらく続きそうです。
【 高尾 について 】
歴史は長く、昭和31年、東京農業試験場で、芦川孝三郎氏が育成した品種。
巨峰の実生から選抜したものです。
巨峰よりもやや小粒で、楕円の実をしていて、最初見た時は、スチューベンの大きくなったものかと思いました。
「ブドウの新品種「高尾」について」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsbbs1951/22/1/22_1_46/_pdf/-char/ja
東京都農業試験場 芦川氏本人による文です。
以下要約。
種なしブドウは、消費者側からも歓迎され、消費も伸びている。
「巨峰」は、食味良く好評を得ている。
しかし「巨峰」は、「花振い」しやすいため、栽培が容易でないことが課題だった。
※花振いとは、本来実になる花が散ってしまい、実が歯抜け状になる事
そこで、1956年秋に巨峰の自然結実果から種約120粒を撒いて6~7年後結実したものを選抜していった。
花振い性のない系統については、見つけることはとうとう出来なかった。
1962年ジベレリン処理でよく反応し大型なもので、最初からほぼ種なしのものもあり、これを育成して「立川1号」(現在の高尾)が生まれた。
「高尾」は、1回のジベレリン処理で無核化でき、大粒で堅めのしっかりした果肉で、保存性も良好とあります。
なお、芦川孝三郎氏自身の名前で、「多摩ゆたか(ブドウ)」「本丸(和ナシ)」が登録されています。
「高尾」については、現在農水省品種登録DBにありません。
【 高尾 を 食べてみた印象 】
巨峰のような、丸い実ではなく、長円形の実。実の大きさはそれほどでもなく、巨峰よりも小さめです。
皮が柔らかいので、食べられるとのことですが、渋味もあります。
実はすこし堅めですが、皮との実離れは良いので、たべやすさもあります。崩壊性とはいえません。
甘さは十分で、酸味もしっかり感じられて、バランスの良さを感じます。
香りは、いわゆる黒ブドウ系のフォクシーな香りがあります。
「巨峰」と「高尾」、好みがわかれるところですが、酸味の強く感じられる高尾のほうが、飽きずに食べられるように思いました。
種はまったくありません。