素材ダウンロード
くり クリ 栗
Chestnut
科:ブナ科 Fagaceae
属:クリ属 Castanea
種:クリ C. crenata
日本では、縄文時代から食べられ、古事記や日本書紀にも記録があり、なじみ深い食料といえます。
江戸のころから、米に代わるものとして栽培がさかんになりました。
昔話「さるかに合戦」にも、カニをいじめた悪いサルを懲らしめる役に、クリが出てきます。
「秋の味覚」といえば、芋・クリ・ナンキン。
日本人にとって、秋を代表する、たいせつな季節の味に変わりはありません。
クリは、世界各地で栽培されています。
いわゆるナッツ類に区分されます。
アジア、欧州、北米に原生しますが、果実を食用とするのは、以下の4種。
・ニホングリ
・チュウゴクグリ
・欧州グリ
・アメリカグリ
日本国内原生のクリの野生種は、シバグリ。国内栽培の基本品種でもあります。
国内で流通している栗は、ほぼシバグリの改良品種。
案外広く分布し、北海道南部から九州まで広がります。
いわゆる「丹波栗」の歴史も古く、大阪、京都、兵庫を接する地域で産地名をつけられています。
保存性がよく、山間地で採取できる、飢饉対策品としても奨励されました。
栽培クリのルーツは、「丹波」にありますが、大正から昭和にかけ、優良品種が選抜され、広まります。
しかし、経済作物としての重要性は低く、生産量は経済成長にともない、あまり増加してはいません。
【 渋皮もむきやすい!という栗 】
栗は美味しいのですが、鬼皮や渋皮があって、なかなか面倒です。
自動の皮むき機もあるのですが、高価なうえに、どうしても渋皮が残ります。
この「ぽろたん」ホクホクしておいしい栗なのですが、それ以前に、「むきやすさ」をテーマに開発されています。しかも国家プロジェクトみたいなものです。
名前も「ぽろり」と渋皮がむけるので、「ぽろたん」。可愛いネーミング。
皮むき機がなくても、家庭で手軽に栗を食べたい!という普及活動に前向きに取り組まれた結果で素晴らしいことです。
現在、栗の需要が低下している状況を少しでも変えることになればと思います。
ニホングリで、渋皮がむきやすいという品種は 他に、小さめの「ぽろすけ」、岐阜県が育成した、「えな宝来」という品種もあります。いずれも、オーブンなどで加熱することで、剥きやすくなるものです。
そのほか、「チュウゴクグリ」の選抜で、「岡山1号」「岡山2号」「岡山3号」が岡山県によって育成されています。焼き栗にすると渋皮がぽろりと剥けます。
【 「ぽろたん」の品種登録 】
農研機構による開発品種です。農水省品種登録以下抜粋転載。
作物区分 果樹
農林水産植物の種類 Castanea Mill. (和名:クリ属)
登録品種の名称 ぽろたん (よみ:ポロタン )
登録年月日 2007/10/22
育成者権の存続期間 30年
品種登録者の名称及び住所
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 (305-8517 茨城県つくば市観音台三丁目1番地1)
この品種は、(出願者所有の育成系統×「国見」)に「丹沢」を交配して育成されたものであり、・・・育成地(茨城県つくば市)では9月中旬に成熟するやや早生種である。・・・果実の大きさはやや大、果皮の色は赤褐、座の大きさは小、接線の形は直、果皮の毛じの多少は中である。果肉の色は黄、肉質は粉質、甘味は多である。開花期は中、成熟期はやや早で育成地においては9月中旬である。双子果の多少はやや多、裂果の多少は少、果皮の剥皮の難易は難、渋皮剥皮の難易は易である。「丹沢」と比較して、裂果が少ないこと、渋皮剥皮が易であること等で、「国見」と比較して、肉質が粉質であること、渋皮剥皮が易であること等で区別性が認められる。
鬼皮部分にざらつきがある所が、この品種の外観上の特徴。
【 実際にむいてみた 】
農研機構のHP解説どおり、半切りか、切れ目をザックリいれて、オーブントースター600Wで15分加熱。
すぐ剥くのは、熱くて無理ですが、たしかにポロリとむきやすいです。
熱いからといって、放置し冷めてしまうと、渋皮は剥きづらいですので、温かいうちに剥いてください。
蒸す場合は、半切りして並べて16分中火で蒸します。
ゆでる(ブランチング)場合は、2~3分ほどの加熱で良いようです。後で知りました。こっちのほうが手軽ですね。
5分以上茹でると、クリの色が悪くなるそうです。
【 知っておきたい、クリに虫が入り込む対策 】
虫の名前は「クリシギゾウムシ」「クリミガ」。
穴が開いてなくても、いる可能性があって厄介です。
園地の防除のほか、収穫後の対策として、従来から使われてきたのが「臭化メチル」による燻蒸。
現在は使用禁止となっています。理由は、フロンなどと同様、オゾン層破壊物質であるということでモントリオール議定書に基づく使用禁止措置。
代替技術として、「ヨウ化メチル」燻蒸材がありますが、沸点が42°Cと高く、比重も重いことから扱いにくく、価格も高騰し普及しませんでした。
現在は、収穫後の栗については、①温湯処理 ②氷蔵処理 ③炭酸ガスくん蒸 を推奨しています。
① 温湯処理は、50°C30分の加熱、のち乾燥
② マイナス2°Cで3~4週間の氷蔵
③密封容器で2週間炭酸ガスに入れておく
① では、食味に影響すること、処理工程が多いことがネックになります。
取り組みやすい②の方法がとられているかと思います。
栗の保存方法は、家庭でも「冷蔵」「冷凍」です。
低温管理することで食味も向上します。
また、せっかく②で処理した栗のコールドチェーン物流が途中で途切れてしまうので、直売所でも、冷蔵陳列する店が増えてきています。
【 直売所での対応事例 】
顧客サービスとしていくつかの店では、栗剥き機のサービスをおこなっているようです。
日本農業新聞 動画
岐阜 山県ばすけっと / 茨城 道の駅かさま内みどりの風
https://www.youtube.com/watch?v=OCtTFs44v98
実においしそうなモンブラン♪
ライブ感もあって、行列ができるのも納得ですね。
水辺プラザかもとでは、栗皮むきを有料対応しています。
有料でも納得できそうな便利なサービスです。