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津之望 つののぞみ TX
カテゴリ:くだもの
「津之●」は3品種あります。カンキツ研究口之津拠点生まれ。
ファイル名:tunonozomi202301tx.jpg
津之望 つののぞみ
品種名に「津之」とつくのは、「津之輝」「津之望」「津之香」があります。
長崎県南島原市 口之津(くちのつ)町に、農研機構「カンキツ研究口之津拠点」があり、ここが育成地となった品種ですので、住所の「口之津」読みを、一部ひっくり返して名前にしたのでしょう。
口之津は、南蛮船が来航した港であるほか、イルカウォッチングのスポットでもあります。
【 品種登録情報 】
農水省に品種登録があります。抜粋し転載。
作物区分 果樹
農林水産植物の種類 Citrus L. (和名:カンキツ属)
登録品種の名称 津之望 (よみ:ツノノゾミ )
登録年月日 2011/05/24
育成者権の存続期間 30年
品種登録者の名称及び住所
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 (305-8517 茨城県つくば市観音台三丁目1番地1)
・・・果心の充実度は空、果心の大きさは極大、果実の重さはやや重、果皮の色は橙、油胞の大きさは小、油胞の密度はやや密、油胞の凹凸は凸、果面の粗滑は中、果皮の厚さは薄、果皮歩合は小、剥皮の難易はやや易、じょうのう膜の硬さは軟、さじょうの形は中、さじょうの大きさは中、さじょう(果肉)の色は濃橙、果汁の多少は中、甘味は高、酸味はやや低、香気の多少は多、種子数は中、発芽期は中、開花期はやや晩、成熟期はかなり早、隔年結果性は低、浮皮果の発生は無、裂果の発生は少、貯蔵性は中である。出願品種「津之望」は、対照品種「べにばえ」と比較して、果心の充実度が空であること、果皮の色が橙であること等で区別性が認められる。 対照品種「アンコール」と比較して、果心の充実度が空であること、成熟期がかなり早であること等で区別性が認められる。
中心部に空洞ができやすく、酸味が少なく甘味の多い品種だとわかります。
【 津之● を おさらい 】
「津之シリーズ」概略。(内は登録出願年)
津之香 (1990) 清見×興津早生の交雑
津之輝 (2007) (清見オレンジ × 興津早生)× アンコール
津之望 (2010) 清見オレンジ × アンコール
「香」は、晩生タンゴールで、通常種無しになり、濃厚な味わいの美味しい柑橘。
「輝」は、年明け1月ごろから出回る中生品種。プリプリの実でジューシー。
「望」は、年内12月に熟成する柑橘。
3種ともに、清見を元に、興津早生とアンコールを組み合わせた交配だと判ります。
市場には、「望」「輝」「香」の順に出回る印象です。
一部早出しの施設物もあるので、時期クロスすることもあります。
【 じっさいに食べてみた 】
202301末。和歌山県の個体で、市場流通品。
実は、津之望はこれで4度目の入手。
一度目は、まったく種がなく、「おへそ」があるので、津之望ではない(品種混入でしょう)。
二度目は、水分が抜けてスカスカの残念な個体。
三度目は、やたら種が多く、商品に添付されていたシールの内容(交配)が違っていて、疑わしくなった。
・・・ということで、ずいぶん遠回りをしています。
まず、皮むきから。
明らかに頭(ヘタ)部分からのほうが、簡単に手で剥けます。
おしりから剥いてみたものと比較。おしりからだと、なぜか綺麗に剥けません。時間もかかります。
左が頭(ヘタ)から剥いたもの。
皮の厚みは、個体の大きさを考えると、こんなものかなという感じ。厚くはないと思います。
温州みかんによくあるような、浮き皮はみられません。
半切りすると、大きな種と、不完全種子が混じった状態。
1個食べると、大きな種のほうは、3~8個ほど出てきます。
小さな種は、気にならなければ、そのまま飲み込んでしまいましょう。
うす皮(じょうのう膜)の厚みは、最初のうちは厚く感じました。
食べ進むうちに、さほど硬くないことから、それほど気になりません。
うす皮ごと噛んでも、さほど抵抗感がないので、食べやすいです。
温州みかんよりも大きな個体なので、大きさに合った厚みという印象です。
酸味は、それほど強くありません。
多汁かというとそうでもなく、案外しっとりした果肉。パサパサではなく、落ち着きのあるものです。
甘味は程よく感じられます。めちゃくちゃ甘いというわけではないです。
酸味がごく少ないので、甘さが表に出る感じ。
香りが、オレンジ系のものですが、鋭さはなく、心地よいです。
花粉親である、「アンコール」の特徴が出ているのでしょう。
酸抜けは早い品種だそうで、1月末の時点でも、酸味はとくに印象に残りませんでした。
総合的には、香りはオレンジ似ですが、丸みのあるやさしい味わいは、温州ミカンに近いものです。
濃厚さは感じられず、香りを楽しみながら、カジュアルにパクパクと食べたい柑橘。
過去の印象も、ミカン似の味で香りが別種と記録しています。
種だけは、どうにもなりませんので、ペッと出しながら食べましょう。
みかんライクで、気軽に食べたい。種には注意。
デコのある個体もあるようです。
農研機構によれば、「花粉の多い品種を混植すると、種子数が増加します」とのこと。3度目に食べた個体がそうだったのでしょうね。
栽培環境に左右される部分もあるので、食べてみなければ判らない部分です。
タンゴールは、「みかんに近い」ものと、「オレンジに近い」ものがあります。
この品種は、「みかんに近い」と言えます。