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土佐文旦 ブンタン TX
カテゴリ:くだもの
ブンタンの仲間はけっこう多く、中でも土佐文旦と河内晩柑はメジャー級。
ファイル名:tosabuntan20230322tx.jpg
土佐文旦
科:ミカン科 Rutaceae
亜科:ミカン亜科 Aurantioideae
属:ミカン属 Citrus
種:ザボン C. maxima
名前のとおり、高知県で広まった柑橘ですが、元は鹿児島から導入されています。
とても良い香りの、柑橘。
さまざまな名前で呼ばれる、ブンタン。
文旦 ザボン ボンタン ジャボン ポメロ 唐九年母
原産地は、ポリネシア・マレーシアではないかとされています。確実な野生系統は判っていません。
東南アジアや台湾、中国南部という説もあります。
ポメロ(Pomelo)は英語圏の名で、インドネシアの地区の名。西方には、ポメロ名で広まっています。
東方へは、別の名で伝わっています。
「ザボン」の呼び名は、ポルトガル語でブンタンを指す、Zamboaザムボアが由来のようです。
訛って、ザボン(標準和名)、ジャボン、ザンボウと呼ぶ地域があります。
文旦は中国経由。文旦が訛って「ボンタン」・・ということだろうと思います。
寒さに弱く、他の柑橘よりも高温を好みます。
伝播した種は、変異し続け、多様な性質を持つことになります。
【 日本への伝来と、その後 】
日本にいつ渡ってきたかは不明ですが、室町時代にはあった?という説もあるほど、古くからある柑橘。
17世紀には実際にあったとされています。
日本の書物(1709年 大和本草)に残っている名も、「ザンボア」の音に近く、「ザンボ」。ほかに、「ジャボ」「ザンボウ」などの呼び名で呼ばれていたようです。
一方、「文旦」は中国語由来。鹿児島 阿久根市に漂着した船の船長(謝文旦)が御礼にくれたという説があります。
別の説もありますが、長くなるので省略。
残った文書から、インドシナなど、南アジア経由で先に入ってきたのではないかと思われます。中国経由で同じようなものが広まり、結果として、色んな名前で呼ばれることになったのでしょう。
宮崎の一部では「トウクネンボ」の名。「唐九年母」と書きます。
「九年母」は、日本柑橘の祖先のひとつ。唐から来た九年母ということでしょうか。
果肉が濃い紅色のものは、「ウチムラサキ」と呼ばれます。今でも国内に残っているようで、外観は文旦ですが、果肉色は、ピンクグレープフルーツのような色です。
多様な品種をもちますが、多くは自家消費程度で、絶滅寸前のものもあります。
【 ブンタンの多様さ 】
ブンタンは、柑橘の中でも少ない「単胚性」種子植物。
自然交雑で、高確率で性質の異なる品種を意図的に作り出すこともできます。
こうしたことも、多様に分化した理由のひとつです。
ブンタンには、交雑も含め、いくつか種類があります。
いわゆる雑種。
分化と交配の結果、色々なものがあります。
土佐文旦を除く、主なものだけ抜粋。
■ 水晶文旦 室戸市の戸梶清氏が育成。文旦と何かの交雑か?「1号」「2号」があります。ハウス栽培。
■ 晩白柚 2kgにもなる巨大な果実。島田弥市氏が育成。出張航海で食べ美味しかったので、南サイゴンで苗を入手。
自伝のリンク。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bunruichiri/24/3/24_KJ00002992854/_pdf/-char/ja
8頁に晩白柚(白肉ザボン)種苗について記述があります。
■ 河内晩柑 熊本県河内町で発見された文旦の偶発実生。愛媛・熊本が大産地。
■ サラダポメロ 香川県三豊市 吉田哲士さんの園地で見つかった変異種。皮が薄く巨大で食べ応えあり。
ほか、「安政柑(広島県因島)」「江上文旦(長崎県東彼杵郡)」果肉に赤味のある「紅まどか」「江上文旦」、「平戸文旦」などがありますが、歴史的に古い品種は、絶滅寸前のものもあります。「獅子柚子」もブンタンの仲間で、観賞用。
【 土佐文旦について 】
高知県農事試験場園芸部長の渡辺恒男氏が導入したとされます。
元は、鹿児島県姶良郡加治木町の医師 法元(ホウガか? 読み不明)さん宅にあった樹だったので、「法元文旦(ほうげんぶんたん)」と呼ばれたそうです。
原木が存在しましたが、昭和37年 果樹試験場新築時に移植したものの、枯れ死したようです。
現在残っている土佐文旦は、この樹を母樹として増殖されたものです。
土佐市の高橋氏が小夏への高接ぎで導入し経済栽培がスタート。
同じく土佐市の宮地文弥氏が苗木を移植、宮地氏の子息が栽培の基礎を築いたものが、「土佐文旦」。
色んな名が混在していたそうで、昭和34年に「土佐文旦」と名付けて販売することになったようです。
9割が高知県産、うち土佐市が栽培の約半分を占めています。
昭和58年には、ハウス栽培も始まっています。
ハウスものは11月中旬からお歳暮シーズンに当たります。
甘さもしっかりしています。
露地物のほうが多く見かけ、馴染みがあると思います。
収穫は12月ごろ行なわれますが、その後、酸抜きのための貯蔵期間を経て、出荷されます。
1月中旬から4月ごろまで、かなり長い期間出回ります。
【 土佐文旦の楽しみかた 】
香りが良くて、プチプチとした食感と、品のある甘さと酸味が楽しい文旦。
久々に手に入ると、「さて、どう剥いて食べたっけ?」となります。
皮むきの動画サイトは沢山ありますので、参考にしてください。
赤道に沿って包丁を入れたら、スプーンを使って、実と皮をはがします。
「ムッキーちゃん」でザックリと剥きやすい筋を入れるのも良いかと思います。
剥くときに、皮の油胞から、細かなしぶき(リモネン)が飛び散ります。汚れないよう新聞を敷いておきましょう。
「#文旦綺麗剥けたよ選手権」 ご存じでしょうか?
「高知県アンテナショップ まるごと高知」が主催しています。
遊び心があっていいですね。
2023年の2/27~3/14が投稿期間でした。
チャレンジしてみませんか?
というわけで、実際に「きれいに剥く」を、やってみました。
皮と実に分ける
ひたすら剥く
盛り付けて、完成!
2名がかりで、20分ほどかかりました。
さて・・・
美味しくいただいたあとは、皮が残ります。
利用法の一つは、お風呂に浮かべて楽しむ方法。
ゆず湯と同じ楽しみかたですね。
リモネンの効果で、肌にチクチクとした痛みの出る人もいます。
とくに、皮膚炎の方はやめておきましょう。
「文旦ピール(砂糖煮)」は、あく抜きを数回するのが面倒ですが、難しい作業は無いので、挑戦してみてください。
「文旦ピール」で検索すれば、たくさんレシピが出てきます。
マーマレードも、保存瓶で長く楽しめる方法です。
ピールもそうですが、皮の重量を量っておいて、砂糖の量を加減してください。
マーマレードの場合、グラニュー糖は、ほぼ同重量で良いと思います。
202303