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あきあかり 秋あかり 和梨 202510TX
カテゴリ:くだもの
酸味や雑味のない、純粋無垢なジュースと甘さ。特徴的な柔らかさ。
かならず人気が出て来ると思われます。
ファイル名:202510tx_001.jpg
あきあかり 秋あかり
「幸水」と「豊水」の空白期間を埋めることのできる、良食味和梨品種として育成されました。
他にはない、個性を感じる、面白い梨でした。
【 品種登録情報 】
この品種は、農水省に品種登録されています。抜粋し転載。
農林水産植物の種類 Pyrus pyrifolia (Burm. f.) Nakai var. culta (Mak.) Nakai (和名:ニホンナシ変種)
登録品種の名称 あきあかり (よみ:アキアカリ )
登録年月日 2003/03/17
育成者権の存続期間 25年
品種登録者の名称及び住所 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 (305-8517 茨城県つくば市観音台三丁目1番地1)
この品種は、「162-29」(「新高」×「豊水」)に「平塚17号」を交配して育成されたものであり、果形が円、果実の大きさが中、果皮色が黄赤褐の育成地(茨城県つくば市)では8月下旬に成熟するやや早生の品種である。・・・果実の形は円、果形指数は中、梗あの深さはやや深、広さは広、ていあの深さ及び広さは中、有てい果の有無は混在、果実の大きさは中、果皮色は黄赤褐、果点の大きさは中、密度は密、果面の粗滑は粗である。・・・果肉の色は白、硬さは軟、粗密は密、切口の褐変は中、甘味は高、酸味は弱、香気は少、果汁の多少は多、種子の形は卵、大きさは中である。開花期は中、成熟期はやや早で育成地においては8月下旬、後期落果は無~僅か、裂果は無、果実の貯蔵性は中である。「幸水」及び「豊水」と比較して、皮目が大きいこと、新梢の色が茶褐であること、果梗が短くて太いこと等で区別性が認められる。
解説にある「皮目(かわめ)」とは、梨の皮の表面に見られる小さなブツブツやザラつきのことです。果皮の気孔(呼吸穴)が塞がってコルク化したもの。
「平塚17号」は、「雲水」×「幸水」の交配です。
こういう組み合わせになります。
まん丸い形で、揃いのよい外観は、市場受けも良いでしょう。
「幸水」「豊水」と比べて、食味の違いから、ファンを取り込めそうな感じもします。
育成論文を紹介しておきます。
「ニホンナシ新品種`あきあかり`」農研機構
https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/archive/files/naro-se/fruit3_02.pdf
「幸水」「豊水」でナシ栽培面積の60%以上と偏在することから、出荷時期の分散を狙ったとあります。
保存性もよく、両品種の出荷空白期間を埋める事ができるのも大きなメリットです。
また、どちらの品種も樹齢が進行し、樹勢が低下し収量が減少していること、病気などの障害が発生する点が改善できる品種として育成されたとあります。
早生品種としては、日持ち性も優れていると評価しています。
「幸水」「豊水」などとも交雑和合性で、導入しやすさもポイントになります。
【 食べてみた 】
400~500㌘の、けっこう大きな個体でした。
比較的新しい品種なので、期待がふくらみます。
全体にまん丸の形をしていて、きれいな外観です。
果皮色は均一な印象で、黄色みのある、明るい色合い。
順調に丸々と太っている印象です。
「幸水」及び「豊水」と比較して、「皮目が大きい」との事です。
外観上は、あまり気になりません。
育成論文では、条溝(縦の筋状のへこみ)が起きやすいとあります。選果で等級に影響します。入手した3個のうち、1個はその傾向がありましたが、豊水でもっと明瞭なものがありますので、市場は受け入れるでしょう。
上の写真でも解りますが、「有てい果」と呼ばれる、おしり部分の形状は、3個すべてに見られました。
触った感じのザラザラ感はさほどでもありません。豊水よりも滑らかに感じました。
切ってみます。多汁で、大量のジュース。
なんだか、全体がとても柔らかい印象です。
形はしっかりしているのですが、瑞々しい危うい球を扱っているような印象があります。
一口食べてみると、やわらかで緻密な、みずみずしい果肉、けっこう甘い印象。
とても柔らかく、歯がなくても、何とか食べられそうな感じもします。
同僚の意見も似ていて、甘さが印象に残ったようです。
糖度を計ってみます。
甘いと感じた印象と、数値は必ずしも一致しません。
酸味はほぼ無く、雑味も少ない果肉であることが、甘さを引き立てた結果ではないかと思います。
人間の五感は、時として、ある方向に印象づけられてしまう時があります。
和梨らしさとは、ちょっと違った個性ですが、結果として、科学的な数値と人間の印象はズレてくるのでしょう。十分な甘さを感じ、満足感もあります。
雑味や酸味が無いこと、ジューシーさが、甘さを見事に引き立てる、面白い梨でした。
透明感のある、スッキリとした甘さを楽しむ和梨。
柔らかく甘い果肉を、口いっぱいにほおばって下さい。
登録から20年以上経過しています。
評価が高まれば、「幸水」「豊水」にとって代わる存在になることが期待されます。
長野県で入手。
202510