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すわっこ
長野県の諏訪で育成された中生りんご品種。
とても大玉になる、「世界一」の交雑実生として登録されています。
育成者の花岡正憲さん(故人)は、元果樹研究会諏訪支部支部長。
中生品種ですが、蜜入りになりやすいとされています。後述。
【 品種登録情報 】
この品種は農水省に品種登録されています。抜粋し転載。
農林水産植物の種類 Malus Mill. (和名:リンゴ属)
登録品種の名称 すわっこ (よみ:スワッコ )
登録年月日 2006/07/13
育成者権の存続期間 30年
育成者権の消滅日 2015/07/14
品種登録者の名称及び住所 花岡正憲 (長野県諏訪郡下諏訪町東赤砂)
登録品種の育成をした者の氏名 花岡正憲
この品種は、「世界一」の自然交雑実生から育成されたものであり、果形が長円、大きさがかなり大、果皮を被う色が紫紅の育成地(長野県諏訪郡下諏訪町)では9月下旬に成熟する中生種である。・・・果形は長円、王冠は強、がくの開閉は中、がくあの深さは深、幅は広、こうあの深さは深、幅は広、果実の大きさはかなり大、果皮の地色は黄緑、被う色は紫紅、被う色の強さは濃、着色部縞模様の多少はかなり少、さびの位置はこうあ、量は無~僅、さび状果点は無、果点の大きさは小、密度は高、スカーフスキンは少、果皮のろう質は中、粗滑の程度はやや滑である。・・・「シナノスイート」及び「世界一」と比較して、果皮を被う色が紫紅であること、蜜が多いこと等で区別性が認められる。
【 食べてみた 】
薄めの紅色に色づいた果皮。果点がまばらに点在し、美しい外観。
もう少し濃く色づくようです。栽培地の寒暖差も影響するでしょう。
長野県の、かなり南部にあたる、下伊那郡高森町産のリンゴです。
「世界一」の交雑品種とのことです。「世界一」ほどの大きさはありませんでした。
大きさは300グラム近くの個体でした。
果皮の、ロウはさほどでもない印象。
半分に切ると、中心部に赤い部分があって、何だろう?
個体差なのか、よく判りません。
サックリと軽くカットできる果肉。
香りは大人しい印象です。
食べてみると、まず、とても甘い。
多汁で、ジュースが口いっぱいに広がります。
噛みごたえのある果肉で、しっかり感もあります。堅いわけではなく、とても密な印象。
噛んでいる時間も長めで、サクサク感が長く続くように感じました。
糖度を計ってみます。
何かの間違いかなと思って、再度別の個体も計りましたが、14.4。
ひと口目から甘さを強く感じるのも納得です。
断面が、部分的に色が褐色に近い部分があって、蜜のせいなのか、傷んでいるのか???
しばらく悩んで、眺めていました。
しかも、皮の近くにも、そんな状態になっていたりします。
蜜入りになりやすい品種のようです。しかも、牛肉みたいな霜降り状。
一般的な蜜入りというと、ハチミツ色のような?感じなのですが、このリンゴでは、赤味のさした色合いになるようです。また、種回りの中心部に多く見られるわけではないようです。
他品種の、蜜入りの入りかたを比較してみます。
高徳の選抜品「こみつ」、黄りんごで蜜入りしやすい「こうこう」の、それぞれ蜜入りです。
全て、種を中心に放射状に広がっています。
「すわっこ」の蜜入りのしかたは少し他と違うようです。
果実全体に「霜降り状」に広がる性質のようです。
ちなみに、蜜入りだから美味しい、甘い というわけではありません。
そういう状態のものが、一般的に甘いと知られるようになっただけと思われます。
しかし、蜜入りリンゴにあたると、なぜか嬉しいものです。
蜜入りがおいしい とされる理由について農研機構がレポートを出していますので興味のある方はどうぞ
http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/press/laboratory/carc/061985.html
食べた感じは、とても甘くて密度の濃い果肉。蜜入りになりやすい。ジュースたっぷり充実果肉。
中生でこれだけの充実果肉をいただけるとは、想定外でした。
早熟な、エリートりんご。
味覚の点では、すべてに及第点以上の内容を持っています。
2006年登録で、育成権は消滅しています。
栽培が広まれば、「ふじ」の牙城を崩す高得点リンゴ。
栽培が広まらないのは、やはり栽培が難しいからだそうです。
長野では、9月末ごろ出回ります。地元の人も待っているみたいです。
指名買いしたい、特別なリンゴだなと思いました。
202509