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ヤーコン
Yacón
科:キク科 Asteraceae
属:スマランサス属 Smallanthus
種:ヤーコン S. sonchifolius
キク科の植物で、塊根を食用にします。本来多年生ですが、日本の気候では一年草扱い。
なお、サツマイモに似ていますが、サツマイモは「ヒルガオ科」。
【 歴史と伝来 】
南米ペルー~ボリビアにかけてのアンデスが原産。2000年前には栽培されていたとされます。
スペイン人の侵略によって、海外に持ち出され広まりました。
海外に伝播したものの、食べておなかを壊す人が出たりで、敬遠されてしまい、もっぱら観葉植物の扱いだったようです。ひまわりに似た感じの花を咲かせます。
日本へは、1985年にペルー原産系統の品種がニュージーランドから挿し木苗で持ち込まれました。
導入時は「よくわからないが低カロリーらしい」ので健康食とされましたが、茨城大学の研究で、フラクトオリゴ糖がたくさん含まれているとして、注目されるようになります。
茨城大学農学部生物生産科学科のサイト「ヤーコンネットワーク」はとても充実しています。
ぜひ覗いてみてください。
http://yacon.agr.ibaraki.ac.jp/network/index.html
【 品種 】
最初に持ち込まれたのがペルー原産系統「ペルーA群」系統。今でも広く栽培されます。裂開(割れ)が発生しやすい事から改良種が出ています。
2005年登録の「サラダオトメ」「サラダオカメ」「アンデスの雪」、2014年登録の「アンデスの乙女」も出回っています。いずれも国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構の登録品種。
【 栄養素 】
文科省が提供する食品成分データベース8訂から抽出してみます。
わかりやすい、芋類との比較。
ヤーコンはじゃがいも並に低カロリーということが言えます。
βーカロテンは、さつまいも並みに含んでいます。
改めてみると、じゃがいもは、とても優秀な野菜ですね。
炭水化物を含まないというわけではなく、「でんぷん」を含まない食品です。
主な炭水化物を抽出してみます。
ヤーコンにはでんぷんが含まれておらず、その点が、「さつまいも」「じゃがいも」との大きな違いです。
結果、利用可能炭水化物は、100g中0.5gと、とても少ない結果になっています。
フラクトオリゴ糖が豊富だとの知見がありますが、文科省の食品データベースサイトでは検索できませんので不明。
なお、冒頭の歴史で、「食べておなかを壊す人が出たり」したのは、この成分のせいかと思います。食べすぎには注意。
【 用途 】
サツマイモと違って、梨のようなシャリシャリした食感。生のほか、加熱して食用にします。アクがあり、空気に触れると変色するので、切ったら酢水にさらしておきます。長くさらすと、栄養も減ってしまうので、3分くらい。
皮は厚めにむきます。
30秒ほど茹でる事でも、アク抜きができます。
サラダ、きんぴら、酢の物のほか、炒め物や揚げ物など。
長期保存が難しいので、加工品パンや麺類のほか、ジュース、味噌漬け、ゼリーなど様々な商品化がされています。
【 じっさいに食べてみた 】
品種が明記されていないものを購入。
外観はサツマイモ似で、芋的な食べ物にしか見えません。
皮むきして、円形にスライスしたもの、繊維に沿って縦に切ったものを、それぞれ生で食べてみます。
食感は、和梨によく似た食感で、シャリシャリ、サクサクしています。
繊維が多いのか、シャリシャリは長く続いて、ホント梨のようです。
匂いはほぼ無。味もあまりありません。少しの甘みと、ごく僅かな渋みのようなものがあるくらい。
クセがなく、見た目とかなりギャップがあります。
切ったら、水にさらすのが良いとされますが、灰汁ぬきと変色防止が目的。そのまま食べて比べてみても、あまり差は感じませんでした。品種のせいかもしれません。
短冊や小さく角切りにして、ヨーグルトに入れたり、サラダに加えたりすると良さそうです。
味に主張がないので、何かと和えたり調味料を加えた味に自然になじみます。
加熱する場合も、煮崩れするような素材ではないので、サッと煮や、かきあげ、きんぴらなど、食感が残るような調理が向いていると思います。
出汁で煮た場合、味はしみるのですが、大根に似た感じの印象でしたので、好きな人には良さそうです。ひょっとすると、おでんの具にいいのかもしれません。そのうちやってみたいと思いました。
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