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さやあかね 清茜
ジャガイモシスト線虫に抵抗性をもち、各種疫病にも強い品種です。
「さやあかね」の名について。
「さや」は古語で「清」。清らか、さわやか、すがすがしいようす。
「あかね」は、外皮色の様子からとっています。
令和元年のデータ
農水省 じゃがいも栽培面積 をもとに制作。
栽培面積7.2ha。
比較的あたらしい品種で、今後栽培が広がりそうな印象です。
【 品種登録情報 】
農水省に品種登録されています。抜粋し転載。
作物区分 食用作物
農林水産植物の種類 Solanum tuberosum L. (和名:バレイショ種)
登録品種の名称 さやあかね (よみ:サヤアカネ )
登録年月日 2009/02/24
育成者権の存続期間 25年
品種登録者の名称及び住所
地方独立行政法人北海道立総合研究機構 (060-0819 北海道札幌市北区)
・・・休眠期間はやや短、枯ちょう期は中、早期肥大性は中、上いも重は多、上いも数は多、上いも平均1個重は小、肉質はやや粉、Yモザイク病抵抗性はやや強、疫病圃場抵抗性は強、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性推定遺伝子型はH1である。 出願品種「さやあかね」は、対照品種「男爵薯」と比較して、皮色(1次色)が淡赤であること、枯ちょう期が中であること、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性推定遺伝子型がH1であること等で区別性が認められる。対照品種「花標津」と比較して、肉色(1次色)が黄白であること等で区別性が認められる。
「さやあかね」の育成経過がわかる資料です
育種学研究 発行年月2015年3月
ジャガイモ疫病抵抗性が“強”の高品質生食用バレイショ新品種「さやあかね」の育成
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2030891730.pdf
1995年根釧農試においてインド原産の疫病抵抗性系統「I-853」と、「花標津」を交配しています。
「I-853」は、ペルーにある国際ポテトセンターから導入しています。
「花標津」は、疫病圃場抵抗性とジャガイモシストセンチュウ抵抗性遺伝子H1 を持つ生食用品種だそうです。
2000年以降、生産力検定試験を繰り返し、北海道での実用検討ののち2006年に命名登録されたとあります。
じゃがいも開発の歴史は、じゃがいも疫病との闘いです。
各種疫病とセンチュウに抵抗性のあるものが両親に選ばれています。
「さやあかね」はジャガイモシストセンチュウ抵抗性があるほか、Yモザイク病にやや強、青枯病に強、粉状そうか病に中 の抵抗性をもっています。
【 ジャガイモシストセンチュウについて 】
ジャガイモシストセンチュウ の被害について
じゃがいも線虫とも。宿主植物はアカザ属、ナス科。じゃがいもは「ナス科」。他の科目には寄生できません。
ジャガイモシストセンチュウのシストは丈夫な黄褐色の嚢胞(シスト、英: cyst)。
耐薬剤性があって、乾燥や低温にも強く、メスの卵を保護します。
10年以上休眠状態を保てるそうで、根絶が難しいそうです。
寄生して、植物の根に侵入して栄養を吸い取ってしまいます。
発生した圃場から蔓延する可能性があるので、注意が必要です。
種イモ圃場にこんな看板。
北海道深川市HPより
ジャガイモシストセンチュウってどんな奴?の画像はこちらが判りやすいです。
独立行政法人 農畜産業振興機構
「北海道におけるジャガイモシストセンチュウの発生状況と対応」
https://www.alic.go.jp/joho-d/joho08_000587.html
美味しいだけではダメで、豊産性や型の良さと揃い、耐病性、地域適応性など、じつに様々な要素が、ジャガイモ育成には必要なのだと痛感します。
【 このじゃがいもの特徴 】
休眠期間は短めで、デコボコが少なく、外観はつるりとしています。芽も浅いです。
なにより、外皮が赤味をおびていて、一目で他と違うことがわかります。
果肉は黄色味が強く、加熱後の褐変もごく少ないです。
煮崩れ程度は、男爵よりも崩れやすいですが、なめらかでコロッケにはとても向いています。
甘味のある味わいなので、個人的にはシンプルな調理が良さそうに思いました。
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