素材ダウンロード
そらまめ 一寸そらまめ 空豆 天豆(てんまめ) 蚕豆
Broad bean
目:マメ目 Fabales
科:マメ科 Fabaceae
属:ソラマメ属 Vicia
種:ソラマメ V. faba
サヤが空に向かって上向きに成るので、「空豆」「天豆」とも呼ばれます。
サヤの中に、ふわふわしたお布団に包まれて、お豆が並んでいるようにも見えます。
この様子から、蚕が作る繭の形ににているので、「蚕豆」と呼ばれたりします。
【 来歴 】
古代エジプトの墳墓からも見つかる栽培の歴史が長い野菜。
原産地は地中海、西南アジア、北アフリカなど諸説あります。
野生種と思われるものが、見つかっているのがその理由ですが、未だ判然としません。
日本には奈良時代に、対日したインド僧(菩提仙那/ぼだいせんな)が中国で入手したものを持ち込み、日本の僧 行基に渡したものが、兵庫県武庫村(現在の尼崎市)で試作されたとされています。
現在でも、「武庫(むこ)一寸そらまめ」が伝統野菜として栽培されています。
行基といえば、単に高僧として名高いだけでなく、大阪に今も残るため池を残しています。
そのひとつ、久米田池は、五穀豊穣を願うお祭り、「だんじり」と関係があります。
祭り本番「行基まいり」では、久米田寺に13基のだんじりとともに参拝します。
行基が指導し建設された、ため池のおかげで、干ばつに悩む周辺が潤ったことへの感謝が込められています。
【 一寸そらまめ 】
流通しているもののほとんどが、通称「一寸そらまめ」です。
粒の大きさが1寸=約3cm。粒は2~3粒。
国内の栽培は、大粒種が中心です。
国内では、陵西一寸(りょうせいいっすん、りょうさい とも)がもっとも広く栽培されているようです。
ほかに、ハウス陵西、打越一寸、清水一寸、仁徳一寸、三連、千倉一寸 ・・・といった品種があります。
変わったところでは、お豆の皮色が赤茶色になる「初姫(協和種苗株式会社)」があります。
協和種苗は、合併し ヴィルモランみかど株式会社が販売しています。
「於多福」の突然変異個体から選抜・育成されています。
通常のソラマメよりも美味しいとされます。
ちなみに、中華調味料の「豆板醤」は、ソラマメが使われています。
ソラマメを乾燥して、揚げた豆菓子は、「いかり豆」「フライビーンズ」と呼ばれます。
「いかり」は、切り込みの形が船の碇に似ているという意味で、「怒り」ではないようです。
フライビーンズを「花豆」と呼ぶ場合があるようですが、白花豆と混同しそうで厄介です。
【 お歯黒の有無について 】
サヤの中のお豆には、おへそ?みたいな部分があります。
緑色だったり、黒くなっていたりします。
黒いものは「お歯黒」と呼ぶ人もいます。
ここは、豆がサヤとつながっていた部分です。
つまり、栄養を受け取る場所だったわけです。
緑色なのか、黒いのか・・・
この色は、お豆の熟度具合で変化しています。
若いうちは、緑色で、プリプリとした美味しさ。
黒くなるにつれ、糖分がデンプンに変化して、ホクホクした美味しさが楽しめます。
【 サヤの長いタイプのソラマメ 】
長いサヤをもつものもあります。
粒も、4~7粒ほどと、多めに入っています。
長サヤ品種のソラマメで、入手しやすいものをご紹介。
「城陽長莢」
「福ならび」
藤田種子の「ファーベ」。
巨大になるという、武蔵野種苗園「ポポロ」。
「ファーベ」はイタリア読み、フランスでは「フェーブ」。
ポポロは、5~7粒入り、さやは30cmほどの長さになります。
早どりすれば、豆は生でも食べられ、チーズとよく合います。
栽培をしてみましたが、難易度は低く豊産。
直売所では、長サヤ品種は、差別化商品として面白いので、是非お試しください。
食べても、旨味が強くて美味しいですよ。
【 おいしく食べる 】
サヤにシワがなく、重量感があって、しっかりハリがあるものを選びましょう。
サヤから出して売られているものもありますが、空気に触れることで風味が落ちます。
できるだけサヤ入りのものを買いましょう。
若採りお豆全般に言えることですが、鮮度第一で楽しんでください。
塩ゆでするか、さやごと焼いて、中のマメを食べます。
普通は捨ててしまう、さやを食べる、という強者もおられるようです。
豆類の食物としては最も大きな部類なので、食べごたえがあります。
一寸ソラマメは、独特の香りを持っていて、クセになります。
面白いところでは、フライビーンズのように素揚げする手があります。
切り込みを入れるのを、忘れないでください。
爆発し火傷の危険があります。
プカプカ浮いてきたら、揚がったサインです。
塩振りでどうぞ。これも旨い。
202403改