素材ダウンロード
マコモダケ 真菰筍 ハナガツミ
Wild rice stem,
科:イネ科 Poaceae
属:マコモ属 Zizania
種:マコモ Z. latifolia
「マコモ」の根の部分が肥大化したものを、秋に収穫し食用にしています。
マコモは、水辺に群生して、雑草状態に見えます。
海外では、間違って持ち込まれたマコモが繁殖して困っている例があるようです。
その一方で、霞ヶ浦や琵琶湖では、水質浄化に役立つとの評価もあります。
【 来歴 】
黒穂菌と呼ばれる、黒いツブツブが見られる種類は、中国南部 長江以南から台湾、日本全土に広く分布しているイネ科の植物。
万葉集にも出てくるそうで、相当古くから自生していたのでしょう。乾燥して、ござやむしろなどの敷物や、編んで容器にも使われました。薬用としての利用もありました。
ただ、マコモダケができる食用種ではなかったようです。
冬の樹木にまかれている、害虫から木を守る、冬ごもりの準備物「こも」。
現在はマコモよりもワラが多く使われています。
出雲大社の本殿の注連縄は、いまも在来種のマコモ藁で作られます。
「神宿る草」として、神事にも欠かせない植物。
無病息災や五穀豊穣を願って行われる、「涼殿祭(すずみどののまつり」」で、マコモは毎年使用されます。
神事のようすがうかがえるリンク先
出雲大社 古式ながらの真菰の神事 「 凉 殿 祭(すずみどののまつり)」
https://izumooyashiro.or.jp/archives/saiten/10295
食用品種について。
マコモダケができる、食用のものが日本に導入されたのは、大戦前のことで、台湾から持ち込まれます。
しかし、当時は食用として好まれず注目されませんでした。
中国では、なくてはならない食材とされます。
【 この植物の特徴 】
2~3mにも伸びて成長し、根本のところにマコモダケをつくります。
自生種と栽培種がありますので、食用種を利用します。
食用部分が肥大化する理由は「黒穂菌(くろぼきん)」。
イネや麦、とうもろこしにとって、本来は黒穂病の原因になる厄介な菌。
しかし、マコモにとっては、食用として大きくなるために必要な菌です。
短期間で大きくなるそうで、取りそびれると、成熟して、黒い胞子を作り始めます。
白い部分の断面が黒いブツブツがどんどん出来て、味も悪くなります。収穫タイミングがとても重要な食物です。
黒くなったものは、「マコモズミ」。莢を乾燥させることで、粉状になった黒穂菌を採取します。
工芸用としては皮革や漆器、古くは「お歯黒」の原料。
葉を乾燥した粉末が飲用として販売されています。
緑色の葉鞘を何枚か剥ぎとって、白い部分を食用にします。
【 見かけることが少ない理由 】
自然に生えてもいるものですが、商業作物として特産化の動きもあります。
休耕田を活用できます。
早生種(千葉早生)、中生種(青殻、一点紅)、晩生種(アズミ、白皮)といった品種があるようです。
売ったら儲かるんじゃないと思うところですが、なかなかそうもいかない理由があります。
参考
「わが国の食資源としてのマコモ」 元平安女学院大 現 岡山県立大 岸本妙子さん
https://core.ac.uk/reader/229193200
滋賀県八日市、三重県亀山市、静岡県豊田町 などの取り組み事例が紹介されています。
共通している点は、収益性は悪くないが、皮むきが重労働であること、作業が短期間に集中するので、人時を集中投下できないことが大きな課題であるといいます。
また、保存性に乏しく、安定供給に向かない季節性の高い商品と言えます。
202203改
202401改