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未希ライフ みきらいふ
青森県うまれの、早生リンゴ。
リンゴらしからぬ名前ですが、理由がありました。
【 品種登録情報 】
農水省品種登録されています。抜粋転載。
作物区分 果樹
農林水産植物の種類 Malus Mill. (和名:リンゴ属)
登録品種の名称 未希ライフ(よみ:ミキライフ )
登録年月日 1992/09/01
育成者権の存続期間 18年
品種登録者の名称及び住所 工藤清一 (036-8124 青森県弘前市大字石川字春仕内15番地)
この品種は、「千秋」と「つがる」の交雑実生から選抜・育成されたものであり、果実は円形、大きさは260g程度、育成地(青森県弘前市)で9月上旬に成熟する早生種である。・・・成熟期は育成地において9月上旬で早、・・・「つがる」と比較して、果皮を被う色は強さが濃く、型が縞不明、量が多いこと、早期及び後期落果が少ないこと等で、「さんさ」と比較して、がくが開くこと、果皮を被う色は強さが濃く、量が多いこと等で区別性が認められる。
【 未希ライフ という名前について 】
NHKドラマ「いのち」は、1986年1月から1986年12月まで50話放映されています。
原作は、橋田壽賀子。三田佳子、役所広司、伊武雅刀らのキャスト。
終戦直後の弘前で、医師となる高原未希(三田)を取り巻く、生と死の物語。
実は、弘前のりんご園地がロケ地で、弘前市役所など関係者のほか、撮影園地提供・栽培技術の演技指導などで、工藤清一氏も深くかかわったようです。
工藤氏が育成した、まだ名のないリンゴに、ドラマ主人公「未希」に、人生・いのち「ライフ」を合わせた名前をつけて、品種登録したのが、この「未希ライフ」。
【 未希ライフから生まれた品種 】
未希ライフから、複数の品種が生まれています。自然交雑実生。
「黄明こうめい」 果皮の黄色いリンゴ
「紅夏べにか」 縞のある早生の赤リンゴ
「大紅栄だいこうえい」 とても大玉になる赤リンゴ
「幸寿こうじゅ」 中型で甘味の強い赤リンゴ
すべて、工藤清一氏の育成。
【 育成者 工藤清一氏について 】
工藤清一氏は、多数のリンゴ育種に関わり、品種登録も多いです。
育種は、昭和55年ごろから取り組み始めたようです。
現在は法人成りし、株式会社工藤農園9代目 工藤 貴久氏が代表。
工藤氏が育成した、農水品種登録にある、リンゴ (内は出願年)
未希ライフ(1990) かんき(1990) 安祈世あきよ(1993) 栄黄雅えいこうが(1996) 石川ゴールド(1999) 黄明こうめい(2000) 紅夏べにか(2000) 大紅栄だいこうえい(2002)幸寿こうじゅ(2002)
「栄黄雅」以降に登録されたものの出願者は、全て弘果弘前中央青果株式会社となっています。
弘果弘前中央青果株式会社とあるのは、弘前市にある、全国のリンゴの2割ほどを扱う青果物卸会社。
経緯はよく判りませんが、工藤氏も、地元青森リンゴの発展のためには、自身で登録するよりも良いと判断しているのでしょう。
同社は「つがりあん」の商標登録者。
自身の著書(寄稿)が複数あります。国会図書館デジタルなどをご利用ください。
新品種の作出だけでなく、青森のリンゴ栽培の一時代を支えた重要な人物です。
【 じっさいに食べてみた 】
珍しく市場に流通していたものを入手。やや小さい印象。
縦縞模様がうすく見られますが明瞭ではありません。
果肉は、柔らかめの印象。皮がパリパリとリンゴらしい良い食感。
果肉はやや粗目で水分が少なく、ジューシーとは言えません。
甘さはおとなしいですが、酸味も強くないので、とても良いバランスだと思いました。
リンゴらしい、心地よい香りがたっぷり。
果肉断面の褐変が早いので、注意が必要です。
香りよし、食感よし。甘さと酸味のバランスよいリンゴです。