さやか　　　T9020-8

馬鈴薯　じゃがいも。
農研機構による育成です。


【　この品種の特徴　】

おおむね卵型で、大柄。芽が少なく浅いこと、外観が良く揃いも良いので、加工・調理しやすい品種です。
ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を持つ品種。
澱粉価がやや低め。

Ｙモザイク病（えそ症状）抵抗性が少なく、出やすいようです。
果肉に、ミミズ腫れや黒目の傷みが出る症状です。

後継品種で、「さやか」を父にもつ「はるか」が出ています。
また、「さやか」を母にもつ、「さらゆき（北育24号）」があります。
「さやか」の優れた特性が次世代に受け継がれています。

業務用途に利用される事が多く、青果市場にはあまり流通しないようです。
保存性が良く、デコボコが少ないので、加工しやすい、というのが理由のようです。
市場に流通しても、品種名を明記して売られていることは少ないかもしれません。
主な用途は、「ポテトサラダ」だそうです。

平成元年農水省データでは、12番目に多く作られている品種です。
主産地は北海道。

良い点のひとつとして、「緑化しにくい」そうです。
日光に当たって、緑色になったジャガイモは、売り物になりません。味も台無しになります。
緑化しにくい理由は、「グリコアルカロイド」の含有量が少ないから。
売り手側にとっても、緑化しにくいのは嬉しいですね。
休眠期間も長く、保存性も良いでしょう。

【　品種登録情報　】

農水省に品種登録されています。抜粋し転載。

作物区分 食用作物
農林水産植物の種類 Solanum tuberosum L.　（和名：バレイショ種）
登録品種の名称 さやか　（よみ：ｻﾔｶ ）
登録年月日 1998/01/22
育成者権の存続期間 15年
育成者権の消滅日 2013/01/23 ※期間満了
品種登録者の名称及び住所
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 （305-8517 茨城県つくば市観音台三丁目1番地1）
この品種は，｢Pentland Dell」に「R392-50」を交配して育成された固定品種であり，いもの皮色が白，形が卵形，上いも平均１個重がかなり大きくジャガイモシストセンチュウ抵抗性を有する調理用品種である。・・・形は卵形，皮色は白，表皮の粗滑は滑，目の数は少，深浅は浅，肉色（１次色）は白である。休眠期間はやや長，・・・上いも重は多，数は少，平均１個重はかなり大である。でん粉価及び肉質は中，黒変の程度は微，煮くずれの程度は少，食味は中である。葉巻病，Ｙモザイク病，青枯病，そうか病及び粉状そうか病抵抗性は弱，塊茎腐敗病抵抗性はやや強，ジャガイモシストセンチュウ抵抗性推定遺伝子型はＨ１である。 　「男爵薯」と比較して，萌芽時の葉色が緑であること，花色（１次色）が白であること，いもの形が卵形であること，目が浅いこと，枯ちょう期が晩いこと，上いも平均１個重が大きいこと，ジャガイモシストセンチュウ抵抗性推定遺伝子型がＨ１であること等で，「農林１号」と比較して，萌芽時の葉色が緑であること，いもの形が卵形であること，休眠期間が長いこと，ジャガイモシストセンチュウ抵抗性推定遺伝子型がＨ１であること等で区別性が認められる。


【　じっさいに食べてみた　】

北海道産のもので、滋賀県の直売所で入手。
断面も男爵より白く感じられます。
３月に入手したもので、全体に滑らかでしっかりした形を保っています。
外皮は、けっこう白っぽいほう。断面も黄色みが少なく、同様に白っぽいです。

メークインに似ているのかなと思いながら、肉じゃがにしてみました。
皮むきした後も、変色は遅い印象です。

調理時間が長めの印象でしたが、大柄に切ったので仕方ないかも。
ただ、火の通りが良いというわけでは無さそうです。

ホックリした感じはありますが、粉質ではなく、ほどほど滑らかで、しっとりしています。
メークインほどではないです。
煮崩れる印象はありません。煮ても最後まで角を残すタイプです。

味のしみ具合は、ほどほどに良く、肉じゃがでも美味しく頂けました。
甘味は、ほどほどで、味自体はあっさりした印象で、個性は少ない感じ。
でん粉価が少ないからか、揚げ物には向かないとされています。

マッシュしてポテトサラダに向いています。
淡白な味でマヨネーズとも良く合いそうです。
スライスして茹でても、さほど形も崩れなさそう。
ポテトグラタンも良さそうです。
煮物にも好適。

適度なホクホク感もあって、皮むきなど事前の処理も楽です。
フライ以外なら、どんな料理にも適応できる印象のジャガイモでした。

202303