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ベニハヤト べにはやと 紅隼人
登録名はカタカナです。
「センテニアル」×「九州66号」 の交配品種。
ネーミングは、「隼人藷」に勝る皮色と、カロテン含有が多いのが元になっているそうです。
果肉職はうすいオレンジ。
菓子やケーキなどの製菓材料としての利用が見込まれ、美しい色を活かしてチップス、干し芋、マッシュポテトに向いているとされます。
果肉がオレンジ色になるという点が、チップスや干し芋需要、加工用芋として重宝されましたが、収穫量の点で、課題が残りました。
「ヒタチレッド」も有望だったのですが、「裂開」が起きやすく敬遠されます。
ちなみに、「ベニハヤト」は裂開は少ないです。裂開はこういう状態。
現在は「あかねみのり」「ほしあかね」といった優良品種が出ています。
橙色の果肉をもつサツマイモは、栽培は上位に食い込むほどでは現状ありません。
ただ、サツマイといえばオレンジ色!という具合に、日の目を見る日が来る日がやってくるかもしれません。
この品種は、自園地で実際に栽培もしています。後述。参考にしてみてください。
また、後発品種「アヤコマチ」との食べ比べもしています。
お楽しみに。
【 品種登録情報 】
農水省に品種登録されています。抜粋し転載。
作物区分 食用作物
農林水産植物の種類 Ipomoea batatas (L.) Lam. (和名:カンショ種)
登録品種の名称 ベニハヤト (よみ:ベニハヤト )
登録年月日 1986/11/21
育成者権の存続期間 15年
育成者権の消滅日 2001/11/22 ※期間満了
品種登録者の名称及び住所
九州農業試験場 (861-1192 熊本県菊池郡西合志町大字須屋2421番地)
この品種は、「Centennial」に「九州66号」を交配して育成された固定品種であり、皮色は赤紅色で外観が良く、カロチン含量の高い食用及び加工用品種である。・・・いもの形状は紡錘形、いもの大小は中、いもの皮色の基本色は赤、いもの肉色は橙、いもの外観は上、いもの圃場萌芽は無である。蒸しいもの肉質は粘質、蒸しいもの肉色は橙である。・・・「高系14号」及び「コガネセンガン」と比較して、頂葉色が紫色であること、葉脈色が多いこと、いもの外観が良いこと、いもの肉色が橙色であること、カロチン含量が多いこと、黒斑病抵抗性及びネコブセンチュウ抵抗性が強いこと等で、「しんや」と比較して、頂葉色が紫褐色であること、葉脈及び蜜腺色が多いこと、いもの形状が紡錘形であること等で区別性が認められる。
現在は、ベニハヤトの収量が少ない点を改良した、後継品種「あかねみのり」が出ています。
「あかねみのり」は、ベニハルカを母に持つことから、食味評価も上々のようです。
「ほしあかね」も、カロテンを含む、橙色の果肉で、加工用途として期待されます。
世代交代は世の常。
【 じっさいに栽培してみた 】
ほかの苗に比べ、紫色の強い色だなと思いました。
日が経つうちに、もっとも元気よく伸びだしたのがこの品種。
地上繁茂が大きいとされます。わかりやすく言えば、草勢がとても強く、ツルがあちこちに広がっていきますので、注意が必要です。
「つるぼけ」対策として、チッソ過多にならないよう注意ください。
葉も大きく、多の品種に比べてもずいぶん欲張りな大きさです。
農研機構によると、収量が少ないとのことでした。
実感としては、そう悪いわけでもないように思いました。
マルチ後植えてそのまま放任で、自然任せ。潅水もしていません。
141日目に収穫。
葉もまだまだ元気で、枯れる様子はありませんでした。
収穫タイミングもあるのでしょう。全体に丸みのある大きな紡錘形で、形の揃いは良い印象です。
ただ、収穫時期が適切でないのか、かなり大きな個体が多いなとも思いました。
もう少し早掘りでも良かったのでしょう。難しいものです。
平均的なものを選んで重量を量ると、250g前後という感じです。
地中にもずいぶん根を張っていて、長いものは1m以上あります。
とにかく、やたら元気な芋です。
【 じっさいに食べてみた 】
ペーストなど、二次加工材料として評価されている品種のようですが、そこはそれ。
やはり、青果としてどうなのか、本来の味わいというものはどんな風か。
是非とも知っておきたいところです。
というわけで、農研機構でも、これはいける とした「蒸し芋」にしてみます。
同時に入手できた、後発品種「アヤコマチ」と比較してみます。
これは楽しみ♪
大きさは、「ベニハヤト」のほうが、太くて長めです。個体差かもしれません。
「アヤコマチ」は、根菜・土物栽培が得意な、農家さんが作ったものを入手。
どちらも、果肉色がオレンジ色であることが共通点。
面白い比較になりそうです。
生まれた経歴では、「ベニハヤト」が1986年登録。
一方の、「アヤコマチ」は、2006年登録。
親品種は共通点は直接はありません。
開発から20年の格差がどのくらいあるか、ある意味、興味深い対比です。
同じ時間蒸し芋にしてみます。
いつも使っている、圧力釜。様子を見ながら蒸すこと約10分 のち放置。
蒸し上りの印象
「ベニハヤト」 中心部まで、強いオレンジ色。やや黒みのある色。
「アヤコマチ」 外周はきれいなオレンジ~赤に近い色。中心部は、黄色み。
楊枝をさした方が、ベニハヤトです。
食べてみた感想です。
「ベニハヤト」 普通に甘味が感じられて、美味しい。
資料では、二次加工に向いているとのことで、青果用としては疑問符がついていました。
案外いけます。
しっとり系でも、少しホックリとした粉質を感じる。
カロテン臭は有りますが、それほど気にならず、普通に美味しく食べられました。
「アヤコマチ」 もっと普通にサツマイモに近づいた印象。
果肉色だけでなく、食べた印象が、サツマイモそのもので、ほぼ違和感がない。
カロテン臭はごく少ない印象。どちらもシットリ系ですが、比較すると全体にややシットリ感の強い果肉。
ちなみに左 アヤコマチ 右 ベニハヤト
ベニハヤトは、中心部までオレンジ色が強く出ています。
どっちが美味しい?というのには答えにくいですが、
普通のサツマイモに近いイメージは「アヤコマチ」で、万能な感じ。
色といい香りも個性的な「ベニハヤト」は、使い手を選ぶ・・・
そんな感じでしょうか。
思いのほか、どちらも普通に甘味のあるお芋。普通に美味しいです。
実際に食べて、先入観を捨て、個性的な野菜たちの味わいを楽しみたいところです。
ブログでサツマイモ全般についてまとめ記事を書いています。
広範囲の知識を得られます。参考にしてください。
「サツマイモ」について
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