アヤコマチ　　あやこまち

果肉がオレンジ色になる、サツマイモ。
ニンジン芋にはじまり、色々な改良種が出ていますが、加工だけでなく、青果向けとして、あらゆるシーンでマルチな美味しさをもつ、お芋です。
クセも少なく、さつまいもライクな感じです。
「ベニハヤト」と食べ比べしましたが、なるほど20年の進化とは、こういうものなのかと、開発者の意図が判ります。

【　品種登録情報　】

この品種は農水省に品種登録されています。

作物区分 食用作物
農林水産植物の種類 Ipomoea batatas (L.) Lam.　（和名：カンショ種）
登録品種の名称 アヤコマチ　（よみ：ｱﾔｺﾏﾁ ）
登録年月日 2006/03/20
育成者権の存続期間 25年
品種登録者の名称及び住所　国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 （305-8517 茨城県つくば市観音台三丁目1番地1）
この品種は、「九系１３７」（後の「サニーレッド」）に「九系１５５」（後の「九州１２２号」）を交配して育成されたものであり、・・・いもの皮色は赤、肉色が橙の青果向きの品種である。・・・カロチンの多少はやや多である。「サニーレッド」と比較して、葉脈色及び蜜腺色が少ないこと、いもの補助色が無いこと等で区別性が認められる。

塊根中にカロテンを含み、肉色は鮮やかな橙で、調理加工適性が優れている品種。蒸しいもの食味も良く、カロテンを含む惣菜・青果用品種として利用できる　と、農研機構では紹介しています。
育成は、九州沖縄農研・畑作研究部・サツマイモ育種研究室が担いました。

「ベニハヤト（1986年登録）」も、果肉色がオレンジですが、ペーストにして二次加工する用途に向いています。特有のカロテン臭もあります。
「アヤコマチ」は、より加工むきに改良された品種とされています。
つまり、使い手を選ばない、万能性があるという事のようです。

【　じっさいに食べてみた　】

自宅の園地で穫れた、同じオレンジ果肉の「ベニハヤト」と食べ比べをしてみます。
大きさは、「ベニハヤト」のほうが、太くて長めです。個体差かもしれません。
「アヤコマチ」は、根菜・土物栽培が得意な、農家さんが作ったものを入手。
どちらも、果肉色がオレンジ色であることが共通点。
面白い比較になりそうです。

生まれた経歴では、「ベニハヤト」が1986年登録。
一方の、「アヤコマチ」は、2006年登録。

親品種は共通点がありません。
20年の格差がどのくらいあるか、ある意味、興味深い対比です。

同じ時間蒸し芋にしてみます。
いつも使っている、圧力釜。様子を見ながら蒸すこと約10分　のち放置。

蒸し上りの印象
「ベニハヤト」　中心部まで、強いオレンジ色。やや黒みのある色。
「アヤコマチ」　外周はきれいなオレンジ～赤に近い色。中心部は、黄色み。

楊枝を刺したほうが　ベニハヤトです。

食べてみた感想。

「ベニハヤト」　普通に甘味が感じられて、美味しい。しっとり系でも、少しホックリとした粉質を感じる。カロテン臭はあるが、あまり気にならず、普通に食べられる。

「アヤコマチ」　もっと普通にサツマイモに近づいた印象。果肉色だけでなく、食べた印象が、サツマイモそのもので、ほぼ違和感がない。カロテン臭はごく少ない印象。どちらもシットリ系ですが、比較すると全体にややシットリ感の強い果肉。

どっちが美味しい？というのには答えにくいですが、
普通のサツマイモに近いイメージは「アヤコマチ」で、万能な感じ。
色といい香りも個性的な「ベニハヤト」は、使い手を選ぶ・・・

そんな感じでしょうか。

思いのほか、どちらも普通に甘味のあるお芋。普通に美味しいです。
先入観を捨てて、個性的な野菜たちの味わいを楽しみたいところです。

ブログでサツマイモ全般についてまとめ記事を書いています。
広範囲の知識を得られます。参考にしてください。
「サツマイモ」について

20231014誤植を直しました
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