ひめあやか

東の「ベニアズマ」、西の「高系14号」が広く普及していますが、病害虫に弱い側面もあることから、それらに代わる対策品種として育成したようです。
自園地で栽培もしてみましたので、参考になさってください。

【　品種登録情報　】

この品種は、農水省に品種登録されています。抜粋し転載。

作物区分 食用作物
農林水産植物の種類 Ipomoea batatas (L.) Lam.　（和名：カンショ種）
登録品種の名称 ひめあやか　（よみ：ﾋﾒｱﾔｶ ）
登録年月日 2011/03/28
育成者権の存続期間 25年
品種登録者の名称及び住所　国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 （305-8517 茨城県つくば市観音台三丁目1番地1）
・・・いもの形状(1)は短紡錘形、いもの皮色(基本色)は赤、いもの皮色(補助色)は紫、いもの皮色(濃淡)は中、いもの皮色(分布)は均一、いもの肉色は黄、いもの暈の多少は無、不和合群はＢ群、１株当たり上いも個数はやや多、ａ当たり上いも重はやや少、ネコブセンチュウ抵抗性はやや弱である。　出願品種「ひめあやか」は、対照品種「ベニアズマ」と比較して、いもの形状(1)が短紡錘形であること、蒸しいもの肉質が中であること等で区別性が認められる。 対照品種「高系１４号」と比較して、葉脈色が中であること、いもの形状(1)が短紡錘形であること等で区別性が認められる。

農研機構によると、「九州127号」を母、「関系91」を父とする交配組合せから選抜したそうです。
関東中心に栽培される「ベニアズマ」や、西日本中心に栽培される「高系14号」にかわる、病害虫に強い品種育成を目指しています。

蒸しいも、焼きいもでの肉質は、やや粘質でしっとり系。
全体の収量は少な目だが、200ｇ以下の「食べきりサイズ」の収量が多いとされます。
立枯病、つる割病、黒斑病の抵抗性はやや強で、病害虫にも強いようです。

また、名前の由来は『いもが小さく、焼きいもや蒸しいもの肉色の彩りが鮮やかであることから「ひめあや
か」 と命名』したそうです。

【　じっさいに栽培してみた　】

草勢は普通程度の印象です。葉も大きくはなく、黄緑色のツル。
この年は、真夏の暑さが酷く、40日ほど降雨がありませんでしたが、放任栽培。
141日目に試し掘りしてみましたが、まだ実の太りが悪い状態でした。
153日目に掘ってみました。

【　じっさいに食べてみる　】

掘りだして、すぐ食べてみた感じです。
断面は黄色の強い色です。
小さめのものを選んで、オーブントースターで約１時間。

割った断面は、ホクホクのようですが、食べてみるとシットリした感じもあります。
シットリとホクホクが混ざったような、中間的な果肉です。
栗に似たような味わいで、なかなか美味しい。

やはり、時間を経過すると、甘味を増すタイプだと思います。
以前に食べたものは、かなり甘味が優位な品種の印象です。
食感も、栗というよりは、ねっとり系に近づきます。
時間を経過することで熟成し、食べた印象は変わります。

しかし、掘ってすぐのものも、なかなか味わい深い美味しさがありました。

というわけで、約１か月後に、再び。
焼き芋にしてみます。

大きな違いは、甘さと、スジっぽさでした。
収穫した直後は、この２点が気になりました。
1か月ほど経過して、ずいぶん甘味が増しています。
ベニハルカのような甘さではないですが、自然な心地よい甘さ。
スジっぽいところも気になっていましたが、スジ感はあるものの、気にならない。
ずいぶん丸みを増して、ずいぶん美味しく変化しました。

小ぶりで、食べきりに適した、期待の品種。
満足度もあって、今後広まる可能性が高く、楽しみです。