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スターキングデリシャス スターキング赤りんごTX
カテゴリ:くだもの
今でも海外では人気。
流通で誤った理解がすすんだのではないかと思います。
豊かで芳醇な味わい。
ファイル名:20231130tx.jpg
スターキング スターキングデリシャス
「スターキング」は、「デリシャス」りんごの枝変わり品種とされています。
「デリシャス」は、ミズーリ州ルイジアナ州の園芸種苗会社、スターク兄弟商会(Stark Bro's Nurseries & Orchards Co.)が世界中に広めます。
現在も、その枝変わりを含めた「デリシャス系」ファミリーは、世界中で愛され、いまも栽培が盛んです。
【 デリシャスと、スターキングの由来 】
スターキングの元となった「デリシャス」と、その後について、少し長くなりますが、触れておきます。
国際的には、今でも、とても重要な品種です。
場所はアメリカ。
アイオワ州のジェシー・ハイアット(Jesse Hiatt)のリンゴ園で、はみ出して生えてきた苗木を見つけます。邪魔なので、何度も切るのですが、そのたびに枝を伸ばしてきます。
生命力に驚いたジェシーは、育ててみることに。
発見から6年後1881年に初めてつけた実は、下の部分が尖った、変な形でしたが、食べると豊かな香りでとても美味しいと判りました。
彼は「ホークアイHawkeye」と名付けて、苗木をあちこち売り込みましたが、形が変で気味悪がられて、だれも買ってくれません。
唯一、スターク兄弟商会(Stark Bro's Nurseries & Orchards Co.)当時の社長が味をみて、「おお、これはうまい(dericious)!」と気に入り、スターク兄弟商会に販売権を売ることになりました。
これはうまい(dericious)!が、そのまま品種名になったとされています。
スターク社から販売された苗木は、あっという間に世界に広まり、大人気品種となります。
その後、枝変わりした「スターキングデリシャス」が登場します。
日本で栽培を広めたひとりが、意外な人物。
高級果物店で有名な、銀座「千疋屋」当時の社長 斎藤義政氏です。
斎藤氏が、ニューヨーク出張中に食べたリンゴの美味しさに驚き、苦労の末、苗木をスターク商会から手に入れます。
昭和4年のこと。
その苗は、リンゴ栽培名人といわれた、青森県中津軽郡船沢村折笠(いまの弘前市)、對馬竹五郎(つしまたけごろう)氏に託されます。
苦労の末、数年後には出荷できるまでに量がまとまります。
しかし、市場の反応はサッパリ。黒ずんでいる、変な形だ、酸味がない と散々の評価。
そこで、昭和9年 斎藤義政氏は、自らの店頭に枝付きで販売し、1個1円で販売します。
当時のリンゴは1個10~15銭だったといいますから、相当の高値ですが、評判を呼びあっという間に売り切れ、大人気となります。
こういう商法もあるのですね。
高値で取引されると知った後も、對馬竹五郎氏は、「デリシャス」の穂木を数多く分け与えたそうです。
中には穂木を盗む者もあったようですが、對馬竹五郎氏は「盗まれるくらいでないと普及しない」と言ったそうで、懐の深い人だった様子が偲ばれます。
船沢中学校に對馬氏の胸像が建てられています。
昭和30年代、「国光」「紅玉」とともに、代表的なリンゴ品種として、人気品種になりました。
現在でも中国を除く世界のリンゴ栽培品種のトップが「デリシャス」とその枝変わり群です。
本家オリジナルの「デリシャス」は、枝変わり種と区別するために、「赤デリ」と呼ばれることがあるようです。「デリシャス」の変種は100種以上あるようです。
アイオワ州園芸協会らの手によって、「デリシャスりんご」記念の石碑が建てられています。
さて、国内の栽培状況。
令和2年の特産果樹生産動態等調査によれば、デリシャス系で94.1ha。
スターキングは1.1haと、栽培はわずかになっています。
つまり、すっかり希少品種となってしまっています。
主産地は北海道。
ちなみに、「ふじ」の栽培面積は、17317ha(早生ふじ系除く)。
国内では希少品種でも、国際的にはメジャー品種。
ふしぎな話です。
【 じっさいに食べてみた 】
テカテカと光って、ロウがたっぷりの個体。
おしりに、コブ状の出っ張りがあります。
大きさのわりには、重量感がそれほどでもないです。
切ると、さほど力をいれなくても、サックリと2つに分かれます。
断面からは、良い香り。
食べると、甘くて良い香りが口いっぱいに広がります。
糖度を測ると12.9とさほどでもありません。
数値よりも、ストレートな甘さで、強い甘味を感じます。
酸味はほとんど感じられません。
果肉はスカスカかなと思ったのですが、思いの他充実。
サクサクと良い食感で、すぐにほぐれていき心地よい。
3か月ほど保存ができるということですが、本来の味わいは、10月下旬以降なのかなと思います。
11月下旬に実食できましたが、まだまだ大丈夫な印象でした。
先入観もありますが、この手のアメリカンなリンゴは、ボケた味の、スカスカな印象が頭の隅に残っていて、あまりいい記憶として残っていませんでした。
理由は、収穫期と保存時間にあると思われます。
やはり、適期に食べるのは大切だなと思います。
今回食べてみて、かなりの美味しさで、大満足でした。
日持ちは良くない品種です。
購入したら冷蔵して保存して、早めに食べましょう。