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かおり梨
カテゴリ:くだもの
大型になるようです。
昭和の末期に、ネガティブな要素がある事から、検定試験で育成を継続しない事が決定されました。
しかし、その後も伐採されずに生き残りました。
「幻の梨」にふさわしいストーリー性をもっています。
ファイル名:20210814kaori-japanese-pear.jpg
偶然生き残った、良食味の青梨。
元々の育成名称は、「ナシ平塚16号」。
通称が「かおり」「かおり梨」「香梨」です。
成熟すると、リンゴのような不思議な香りがすることから、この名で呼ばれています。
【 来歴 】
名前のとおり、育成地は神奈川県平塚市の農業技術研究所園芸部。
「新興」×「幸水」の交配とされています。
1967年から、系統適応性検定試験がおこなわれましたが、収穫前の落果や、日持ち性に問題があるとことで、1975年に試験中止となった品種です。
育成中止となったものの、独特の香りと、良食味で優れていることから、栽培が続けられてきました。
日持ち性がよくない点は、通常の市場流通には向いていませんが、直売所での販売に向いていて、栽培は各地で根強く続けられているようです。
なお、1978年以降は、系統適応性検定試験が中止になった場合、すべて伐採するルールとなっています。
ギリギリ生き残れたのは、昭和の おおらかな時代ならではの逸話です。
千葉県農林総合研究センターの研究報告が出ています。
「ナシ平塚16号」の成熟特性及び収穫期 川瀬信三氏
https://www.pref.chiba.lg.jp/lab-nourin/nourin/kenkyuuhoukoku/documents/kenkyuhoukoku_3_p19.pdf
樹齢36年生木の観察報告。
みつ症の発生、果皮色のカラーチャートをもとにした落果率などがまとめられています。
確かに、落果率の高い事が、資料からも読み取れます。
美味しくても、難儀な性質であることが判ります。
重量も600g程度になる大型果実で重いことから、落果の原因のひとつになっています。
何等かの対策が必要でしょう。
【 食べてみた感想 】
名前のとおり、よい香りをもった、不思議な梨。
梨にはない、りんごに似ているような、甘くて、さわやかな香り。
食味も申し分なく、シャリ感と果汁もたっぷり感じられます。
かなり美味しい梨です。
入手した個体も、かなり大型で、食べ応えがありました。
次回いつ入手できるのか判らない梨で、希少です。
食べきれる量をまとめて買って楽しみたいところです。
20210814修正