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ヒュウガナツ 日向夏 ニューサマーオレンジ 小夏 土佐小夏
科:ミカン科 Rutaceae
属:ミカン属 Citrus
種:ヒュウガナツ C. tamurana
タチバナ系統が花粉親です。花粉親はわかっているのですが、種子親は不明となっています。
大型で、黄色みのある外観。
見た目はグレープフルーツに似ていますが、食べると、まったく別物でとても美味しい柑橘です。
「雑柑橘」の一種。「ザツカン」と呼んでいますよね。
【 誕生と育成 】
宮崎市曾井(旧 赤江村)の真方安太郎氏の宅地内で、偶発実生として発見されました。1820年、まだ江戸時代の話です。最初は酸っぱくて食べられなかったようです。
命名は植物学者の田村利親で、「日向夏蜜柑」。1888(明治21)年のこと。
現在は単に「日向夏」と呼ばれることが多いです。
高知県へ導入したのも、田村利親といわれ、「小夏みかん」「土佐小夏」の異名で呼ばれます。
静岡など、「ニューサマーオレンジ」の異名で流通しています。
発見から、名付けるまでの約半世紀の間に、あちこちに広まって定着したことが、たくさんの名前で呼ばれるようになったのでしょう。
宮崎大学の農学者 三輪忠珍(ただよし)氏が、生産技術を改良し、安定した経済作物となるよう尽力。また、種なし化に成功した(ハウス栽培)ことで、現在でも親しまれる柑橘として生き残りました。
実に発見から200年が経過している果物。
独特な個性を持った柑橘で、見た目と違ってグレープフルーツではないし、オレンジやみかんとも全く違った個性を持っていることが、存在価値を高めています。
アルベドごと食べてくださいという辺りも、この柑橘を面白いものにしています。
独特の香りをもち、とても「爽やかさ」を感じられる柑橘です。
【 輪切りにしてみると、こんな感じ 】
種ありとして描いています。
皮(フラベド)の下層に、白くてふわふわした、「アルベド」があります。
この部分も味わうというのが、この柑橘の楽しみ。
なので、手で皮むきするのではなく、リンゴ剥きのように、包丁でうすく黄色い外皮を剝いていきます。
【 日向夏の切り方 例 】
みかんでも、お馴染みのワタの部分、「アルベド」。
実は、食物繊維がたっぷりあって、取り除くのは、もったいない!のです。
日向夏の場合、アルベド部分に苦味がなく、ほんのりと甘くしっとりしています。
食べない手はありません。
この柑橘特有の、楽しみ方です。
【 その他 】
昭和50年ごろから生産量が増加。近年はあまり増減が無いようです。
宮崎、高知、静岡が大きな産地です。
宮崎、高知は、明治期から導入された作物。静岡県には大正9年に導入されたそうで、いずれも古くからの産地です。
10アールあたりの収量は、1トンちょと。他の作物と比較すると、温州ミカンが1.8トン、リンゴで2トンと、ヒュウガナツの収穫量は少な目。経済作物として
柑橘の中では、めずらしく「単胚性」の種子です。
そのため、交雑品種を生み出しやすく、比較的メジャーな「はるか」や「阿波オレンジ」「ひめのつき」などの交配種があります。
栽培歴史が長いこともあって、枝替わりも多く存在します。
柑橘の特殊性については、難しい表記が多いので、時間をかけて判りやすくかみ砕いて説明していきます。
もう少しお時間をいただきます。
202212