せとか　　


長崎県のカンキツ口之津拠点で生まれた品種。
露地では2月中旬～3月にかけて成熟する、中晩柑。
誰が名付けたか、「柑橘の大トロ」とも。
そこまで表現しなくてもと思いますが、文句なしの美味しい味わい。


【　品種登録情報　】

農水省に品種登録されています。抜粋し転載。

作物区分 果樹
農林水産植物の種類 Citrus L.　（和名：カンキツ属）
登録品種の名称 せとか　（よみ：ｾﾄｶ ）
登録年月日 2001/10/18
育成者権の存続期間 25年
品種登録者の名称及び住所　国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 （305-8517 茨城県つくば市観音台三丁目1番地1）
この品種は、（「清見」×「アンコール」）に「マーコット」を交配して育成されたものであり、果形が扁平、果重がやや重、果皮色が濃橙の育成地（長崎県南高来郡口之津町）では２月上旬～２月下旬に成熟するかんきつである。・・・果実の形は扁平、果形指数は大、果頂部の形は平坦、放射条溝及び凹環の有無は無、果梗部の形は切平面、放射条溝の多少は少である。果心の充実度は中、大きさは小、果実の重さはやや重、果皮の色は濃橙、油胞の大きさは大小混合、密度は疎、凹凸は凸、果面の粗滑はやや滑、果皮の厚さは極薄、果皮歩合は極小、剥皮の難易はやや易である。じょうのう膜の硬さは軟、さじょうの形及び大きさは中、色は濃橙である。果汁の多少は多、甘味は高、酸味及び香気の多少は中、種子数は少、胚の数は多胚である。・・・「清見」と比較して、枝梢のとげが多いこと、果皮が薄いこと等で、「マーコット」と比較して、花粉が無いこと、種子が少ないこと等で、「アンコール」と比較して、花粉が無いこと、果皮の色が濃橙であること、種子が少ないこと等で区別性が認められる。


【　育成の背景について　】

「アンコール」や「マーコット」は、高糖度で良食味品種ですが、国内では露地栽培に向かない品種。清見は、栽培面積は拡大しているものの、外観に難があること、皮むきしにくい点から、これらの交配が試されたとあります。

静岡から沖縄までの15個所で試験栽培がされています。
1996年の場所別データでは、けっこうバラつきがあって、興味深いです。
以下リンクです。
「カンキツ新品種‘せとか’」独立行政法人農業技術研究機構　果樹研究所カンキツ研究部口之津
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010682957.pdf

農水省特産果樹生産動態の栽培面積データをみると、R2年で394ha　とあります。ここ10年間ほど栽培面積の大きな変化はありません。
不知火で2,552haですので、桁ちがいに少ないですが、商品価値が高く、一定の需要が維持されれば高値維持できてブランド価値も続くでしょう。


【　じっさいに食べてみて　】

皮はうすく、持った感じもずっしり感のあります。
手で皮むきもでき、比較的容易なほうです。
スマイルカットにしてもいいですね。

中心部の空洞は少なく、断面も、みっちりと果肉が詰まった感じ。
浮き皮もありません。

甘さは申し分ないです。
酸味は少し感じられますが心地よいです。
全体のバランスが、とても良い。品のある感じ。
多汁で、オレンジ似の香りも良く、やわらかな果肉で、なるほど「大トロ」と言いたくなるのも判ります。

重量感のない物やヘタが枯れたもの、縦長なものは避けたほうが良いです。
何より、適期に出回るものを買い求めたいです。
とても大きなサイズのものもありますが、大味ではありません。ちゃんとした個体であれば大満足間違いないので、贈答にも良いでしょう。

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