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スイートスプリング
科:ミカン科 Rutaceae
属:ミカン属 Citrus
種:タンジェロ C. × tangelo
戦後生まれの品種。
「上田温州(うえだうんしゅう)」と「ハッサク」の交配。
見た目は、ゴツゴツして、ハッサクに似ています。
上田温州との交配なので、タンゼロ(タンジェロ)の仲間になります。
再確認
「タンゴール」 「みかん」×「オレンジ」の交配。
「タンゼロ」 「みかん」×「ブンタン、グレープフルーツ」の交配品種です。
栽培面積があまり増えておらず、お目にかかることも少ないかもしれません。
静岡市清水区興津地区の興津園芸試験場で、戦後間もない1947年交配し、長い年月をかけて1982(昭和57)年登録。
育成地では2月ごろ熟成する品種。
育成地は静岡でしたが、現在栽培されている地域は、熊本・宮崎など、九州四国が主。
耐寒性はあるようですが、やはり冬季も温暖な地域での栽培がむいています。
果実の外皮色は、元は緑色で、この状態でも食べられ、流通することがあります。
熟すごとに黄色味のある橙色に変わります。
緑色の抜けがよくない個体もありますが、特に問題はなくて、食べごろになっています。
【 品種登録情報 】
農水省に品種登録されています。抜粋し転載。
作物区分 果樹
農林水産植物の種類 Citrus L. (和名:カンキツ属)
登録品種の名称 スイートスプリング (よみ:スイートスプリング )
登録年月日 1982/10/21
育成者権の存続期間 18年
品種登録者の名称及び住所
果樹試験場 (305-8605 茨城県つくば市藤本2番1号)
この品種は、「上田温州」に「はっさく」を交配して選抜育成された交雑実生であり、1~2月に成熟する早春の生食用に適するタンゼロである。・・・果実の大きさは250g程度、含核数により多少変動するが、玉揃いは良い方である。果形は扁円(果形指数122程度)、果面ははっさくより粗い。果皮の色は橙黄色ではっさくに近いが、時として緑色の抜けが悪いことがある。果皮の厚さは約4mmで、質は丈夫で硬く、しまりが良く、はく皮はやや困難である。じょうのう膜はやや硬い。果肉の色は橙色で、はっさくより濃いが、温州みかんよりは淡い。肉質はやや硬いが、果汁は多い。果汁の糖度計示度は12~13%で高く、酸含量は0.8%程度でやや少なく、苦味はない。・・・単胚である。単為結果するが、その性質は弱い。また、隔年結果の傾向が多少認められる。樹体の耐寒性はかなり強く、温州みかん程度とみなされる。温州みかんに比べてそうか病に強く、かいよう病にやや弱い。成熟期は育成地(静岡県清水市)において1~2月で、3月以降まで樹上に残すと、軽度のす上りを起こすことがある。はっさくと比較して、果面が極めて租いこと等で、また、温州みかんとは果実の外観、成熟期、葉の形質等で区別性が認められる。
【 じっさいに食べてみる 】
デコボコ感の強い外観。
外皮の一部に部分的に黄緑色が残っているものがあります。
そういえば、「スイーティー」も緑色をしていますね。
皮むきは、ナイフなどで切れ目を入れてやる必要があります。
素手で剥くことは困難です。
「ムッキーちゃん」があれば、難しくはありません。
食べてみると、八朔とは別種のもので、文字通り「甘い」「春」を思わせる味わいです。
甘夏・八朔などで感じる苦味のようなものは無く、酸味もわずかで、甘味がしっかり感じられます。
とても爽やかな甘みで、たっぷりとした果汁とともに楽しめます。
白い綿のような、「アルベド」は、層がうすく、剥いた果肉にへばりつく量が少ないです。
うす皮(じょうのう膜)ごと食べると、無駄がないです。
個人的には、時間をかけてモグモグやっているこの感じは好きです。
うす皮の、モゴモゴした食感が嫌だなという方は、さらに、うす皮をとるか、オレンジのように櫛切りしてください。
近年入手しにくくなっている印象ですが、毎年一度は食べておきたい、美味しい柑橘です。
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