素材ダウンロード
河内晩柑
和製グレープフルーツと呼ばれることもある柑橘ですが、味わいは、グレープフルーツとは違って甘味のあるさっぱりとした柑橘。「雑柑橘」のひとつ。
4月くらいから夏まで出回ります。
科:ミカン科 Rutaceae
属:ミカン属 Citrus
種:カワチバンカン C.kawachiensis
【 この柑橘の由来 】
熊本県飽託郡河内村(ほうたくぐんかわちむら) 現 熊本県西区河内町 西村徳三郎氏宅の園地でみつかった柑橘です。
発見者は鑢一馬(やすり かずま か)氏。
大阪の河内ではありません。
発見地の地名と、晩生の柑橘であることから、「河内晩柑」と呼ばれます。昭和10年のこと。
品種登録はないようです。
「ブンタン」の系統とされますが、よくわかりません。
京都大学発表のDNAマーカー解析では、「ヒョウカン(瓢柑)」の系列とされています。
https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/embed/jaresearchresearch_results2016documents161201_101.pdf
縦長なヒョウカンが、下ぶくれ型になったのでしょうか。
たしかに味は双方とも似ています。
ヒョウカンのほうは、とても良い香りを持っています。
【 たくさんある、「枝変わり」? 】
似たものが色々な名前ででています。
枝変わりと判っているものは、1991年に品種登録されている「新和ジューシー」。
・宇和ゴールド 愛媛県南部 宇和島市 商標登録者は 「えひめ南農業協同組合」
・愛南ゴールド 愛媛県南部 愛南町(宇和島市の南)商標登録者は「愛南町商工会」
・美生柑 愛媛県宇和島市 商標登録者は 「えひめ南農業協同組合」
・新和ジューシー 熊本県天草郡新和町 枝変わりで、品種登録されています
・ジューシーオレンジ 熊本ほか
・ジューシーフルーツ 和歌山ほか
・灘オレンジ 愛媛県西宇和郡伊方町三崎 灘地区
・夏文旦/夏ぶんたん 高知県内
・天草晩柑 熊本県天草市
・ハーブ柑 熊本県天草市か
これだけあると、毎年覚えなおす必要があって大変です。下の6件は果実としての商標登録を確認できませんでした。品種登録もありません。
【 実際に剥いて たべてみた 】
雑柑は、皮が厚めのものが多く、「ムッキーちゃん」のような器具を用いると、手軽に剥くことができます。
ここでは、ナイフで頭を落とすところから始めます。
縦に4~6か所ほど包丁で筋を入れて剥くと、剥きやすくなります。
じょうのう膜(うす皮)ごと食べてみると、厚みがあり、少しモゴモゴとした感じで、あまり良い食感ではありません。
食べられなくはないですが、味わいという点では、おすすめしません。
アルベド部分(白いふわふわした部分)もそれなりの厚みがありますが、苦味などは少なく、食べても嫌な感じではないです。
種は、多く入る場合もあるほか、ほとんど無いケースもあります。
たまたまなのか、今回の熊本産のものは種が見当たりません。
かなり個体差があるようです。
多汁で、甘味のある、苦味のない果肉。
グレープフルーツとは一線を画す味。
大きな違いは、グレープフルーツにある、何かのエグミのような、苦味のようなものが、この柑橘にはほとんど無い点です。
全体に、さっぱりとした柑橘の印象で、爽やかな食後感。
皮も、栄養たっぷりだそうで、抗炎症作用があるようです。
ピールやマーマレードにしてみて下さい。
202305改