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河内晩柑
和製グレープフルーツと呼ばれることもある柑橘ですが、味わいは、グレープフルーツとは違って甘味のあるさっぱりとした柑橘。「雑柑橘」のひとつ。
4月くらいから夏まで出回ります。
科:ミカン科 Rutaceae
属:ミカン属 Citrus
種:カワチバンカン C.kawachiensis
【 この柑橘の由来 】
熊本県飽託郡河内村(ほうたくぐんかわちむら) 現 熊本県西区河内町 西村徳三郎氏宅の園地でみつかった柑橘です。
発見者は鑢一馬(やすり かずま か)氏。
大阪の河内ではありません。
発見地の地名と、晩生の柑橘であることから、「河内晩柑」と呼ばれます。昭和10年のこと。
品種登録はないようです。
「ブンタン」の系統とされますが、よくわかりません。
京都大学発表のDNAマーカー解析では、「ヒョウカン(瓢柑)」の系列とされています。
縦長なヒョウカンが、下ぶくれ型になったのでしょうか。
たしかに味は双方とも似ています。
ヒョウカンのほうは、とても良い香りを持っています。
【 たくさんある、「枝変わり」? 】
似たものが色々な名前ででています。
枝変わりと判っているものは、1991年に品種登録されている「新和ジューシー」。
ほかは、変異種ではなく、「河内晩柑」と思われます。
・宇和ゴールド 愛媛県南部 宇和島市 商標登録者は 「えひめ南農業協同組合」
・愛南ゴールド 愛媛県南部 愛南町(宇和島市の南)商標登録者は「愛南町商工会」
・美生柑 愛媛県宇和島市 商標登録者は 「えひめ南農業協同組合」
・新和ジューシー 熊本県天草郡新和町 枝変わりで、品種登録されています
・ジューシーオレンジ 熊本ほか
・ジューシーフルーツ 和歌山ほか
・灘オレンジ 愛媛県西宇和郡伊方町三崎 灘地区
・夏文旦/夏ぶんたん 高知県内
・天草晩柑 熊本県天草市
・ハーブ柑 熊本県天草市か
えひめ南農業協同組合さんで「宇和ゴールド」「美生柑」と、2件の商標を取得しています。
問い合わせたところ、前者は「旧宇和青果農協」、後者は、「旧マルエム農協」で、現在は合併してえひめ南農業協同組合の登録になっているとのことです。どちらも河内晩柑だそうです。
これだけあると、毎年覚えなおす必要があって大変です。下の6件は果実としての商標登録を確認できませんでした。品種登録もありません。
【 実際に剥いて たべてみた 】
雑柑は、皮が厚めのものが多く、「ムッキーちゃん」のような器具を用いると、手軽に剥くことができます。
ここでは、ナイフで頭を落とすところから始めます。
縦に4~6か所ほど包丁で筋を入れて剥くと、剥きやすくなります。
じょうのう膜(うす皮)ごと食べてみると、厚みがあり、少しモゴモゴとした感じで、あまり良い食感ではありません。
食べられなくはないですが、味わいという点では、おすすめしません。
アルベド部分(白いふわふわした部分)もそれなりの厚みがありますが、苦味などは少なく、食べても嫌な感じではないです。
種は、多く入る場合もあるほか、ほとんど無いケースもあります。
たまたまなのか、今回の熊本産のものは種が見当たりません。
かなり個体差があるようです。
多汁で、甘味のある、苦味のない果肉。
グレープフルーツとは一線を画す味。
大きな違いは、グレープフルーツにある、何かのエグミのような、苦味のようなものが、この柑橘にはほとんど無い点です。
全体に、さっぱりとした柑橘の印象で、爽やかな食後感。
皮も、栄養たっぷりだそうで、抗炎症作用があるようです。
ピールやマーマレードにしてみて下さい。
202305改