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味間いも 味間芋
Ajimaimo
科:サトイモ科 Araceae
属:サトイモ属 Colocasia
種:サトイモ C. esculenta
諸説あるようですが、有望な説ご紹介。
昭和初期に、田原本町味間の生産者が奈良県農事試験場(現在の農業研究開発センター)から最も有望な系統を譲り受け、奈良県内では、現在も生産。
奈良在来種として、2014年(平成26年)12月24日、大和の伝統野菜として「大和野菜」に認定。
大型で多収。奈良県農事試験場の改良種ではとの説もあり、来歴には不明な点が多いです。
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奈良県農業研究開発センターで6品種・系統(味間いも、セレベス、石川早生、上庄系、唐芋、鳥播)を用いて品種分類上の位置づけを確認したところ、味間いもは福井県在来品種である“上庄系”と近縁であること、また、“石川早生”と同一グループに分類されることが分かっているそうです。
昭和30年代中頃に味間出身で日本を代表する企業(旧松下電器産業)の重役が社長(松下幸之助)にそのサトイモをお歳暮として贈ったところ、絶賛されたという逸話が尾ひれをつけています。
上庄系よりも大型で、粘りが強く、たしかに、おいしい里芋です。
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平成28年に発足した「田原本町味間いも生産者の会」や、普及活動を継続している生産農家の女性加工グループ「ようやるでおばちゃんの会」が、味間いものブランド化に寄与しています。味間いも焼酎「里の香(さとのか)」や、コロッケ(これもなかなか美味しい)、唐揚げ、アイスといった、幅広い世代に受け入れられる活動をしています。
専業的な生産は、ごく最近になって注目されていて、水田の転作品目にも活用されます。
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サトイモの歴史は、日本では縄文時代までさかのぼります。イモだけでなく、茎も古くから利用されてきた食品。古くからある植物なので、長い長い期間を経て、環境に合わせた特性に変化しています。
サトイモは、親芋につく子芋や孫芋で増えるため、親の遺伝子はそのまま受け継がれ、交配の場合と違って、三倍体品種の日本のサトイモは、新たな品種が生まれにくいのですが、謎が多いままです。推論として、DNA解析から、日本に渡ってくる前に、二倍体同士の交雑があった可能性があります。
小さな変異を繰り返した結果、多くの多様性を今に残しているんでしょうね。
参考:愛媛県農林水産研究所
https://www.pref.ehime.jp/h35118/1707/siteas/11_chishiki/documents/11_satoimo1_298_1.pdf
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上庄系を含む、味間いもは、煮ることで水分含有率が大きくなる特性があり、食味が良好になります。皮むきも、「芋車」と呼ばれる皮むき方法のほうが、包丁むきよりも粘りが残り食味が良くなります。ご家庭では、アルミホイルなどでゴシゴシ皮を落とすと似た状態になります。
粘りが強く、やや硬めのホックリ感のある味間いもは、まずは煮物であじわうのが良さそうです。
202203改