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のらぼう菜/トウ立ち菜/かき菜/茎立ち菜/折り菜/芯摘み菜
葉茎菜用のセイヨウアブラナの一種で、「なばな」として分類されるものです。
花芽を食用にする「菜の花」「花菜」とは区別されています。後述。
名前の由来は諸説ありますが、明らかではありません。
現在も、多摩川流域などで定着している野菜。
【 のらぼう菜の来歴 】
来歴はよくわかっていません。古文書から推定されています。
外来種で、元々は、オランダ船が持ち込んだものとされています。
闍婆菜(じゃばな)と呼ばれていたものが、現在の「のらぼう菜」と考えられています。
公開されている、詳細な資料としてご案内
あきる野市HP 五日市郷土資料館 郷土の古文書 その17
闍婆菜種御請証文
https://www.city.akiruno.tokyo.jp/cmsfiles/contents/0000001/1225/sono17.pdf
幕府の関東郡代であった伊奈備前守忠宥(ただおき)が、領民に 闍婆菜の種と、栽培の指南書などを渡し、栽培を奨励しています。
蒔く時期や草勢が強いので、土手など不要な土地でも作れること、収穫方法や、搾油まで細かく解説しています。
おかげで、天明・天保の飢饉の際に、救荒作物として多くの命が救われた事を伝える碑が残っています。
JAあきがわ のらぼう菜の歴史 「野良坊菜之碑」
http://www.ja-akigawa.or.jp/norabouna1.html
東京都あきる野市小中野187-1 子生神社(こやすじんじゃ)
3月の最終日曜日には、「小中野村のらぼうまつり」が、同境内内でおこなわれます。
かつては広く栽培されたようですが、現在は、自家菜園のほか、特産品としてローカルブランドとしての価値が再評価されています。
JA東京中央会が「江戸東京野菜」に登録しています。
【 「なばな」「菜の花」 と呼んでいるものについて 】
「なばな」は、ひとことで言うと、「アブラナ科の若い葉茎や蕾」です。
「なばな」は総称であって、品種をさしているわけではありません。
また、「菜の花」という特定の植物もありません。アブラナ科アブラナ属すべての花の総称です。
「在来種」と呼ばれるものがあります。
在来は、江戸ごろまで残っており、主に搾油用。
明治になって、含油率のよい外来種が席捲し、全国に普及しました。
年代の古い人にとっては、春になると一面に黄色く咲く風景がお馴染みかもしれません。1960年代までは、そんな風景があちこちに残っていましたが、現在は激減しています。
在来の中には、伝統野菜品種として残っている、「伏見寒咲花菜」は、花蕾を食用にするほか、観賞用としても人気があります。
東北の「荒久田茎立(あらくだくきたち)」「くきたち菜」や、石川県加賀地方の「てんば菜」などの名前で呼ばれるものは、昭和になる前から栽培されていたようです。ただし、明治以降に導入されたものかもしれません。
「在来アブラナ」と呼んでいるものは、ユーラシア大陸からアジア大陸を経て、奈良時代ごろには日本に入ってきました。
つまり、元をたどれば、日本の野生種ではなく、本当の意味での在来アブラナ種はありません。
明治期に多くのセイヨウアブラナが持ち込まれたので、ここを境に便宜的に分類しているのでしょう。
2024年現在、削除されてしまったようですが、農水省の解説文がわかりやすいので、引用させていただきます。以下
農水省 菜の花と 食用なばな の違いとは
回答
本来、菜の花という特定の植物はなく、一般的には、アブラナ科アブラナ属すべての花のことをいいます。菜の花は、十字形に黄色い4枚の花びらを咲かせることから、十字花植物とも呼ばれています。
なばなとは、アブラナ科アブラナ属の食用の品種のひとつで、ナタネ、カブ、はくさい、キャベツ、ブロッコリー、こまつな、ザーサイなど多くのものがあり、この他に観賞用や菜種油用があります。
食用のなばなには、在来種(和種)と西洋種の2種類に分けられ、在来種は葉が黄緑色で柔らかく、花茎とつぼみと葉を利用し、西洋種は葉色が濃く、葉が厚く、主に花茎と葉を利用するのが特徴です。
食味は、いずれも甘みとほろ苦さがあります。
平成30(2018)年産のなばな(主として花を食するもの)の収穫量は全国で約4,068トンあり、主な産地は千葉県(1,771トン)、徳島県(715トン)、香川県(588トン)となっています。
【 この野菜の特徴 】
苦味やクセがなく、軸の部分もやわらかくて、美味しく食べられます。
葉茎を食用にする、セイヨウアブラナ(なばな)には、ほかに「かき菜」「かぶれ菜」「川流れ」「五月菜」などありますが、「のらぼう菜」は、その中でもとても美味しいという意見が多いようです。
美味しいのに、しおれやすいので、広域物流に向かなかったことが、ローカル野菜として生き残った理由なのだろうと思います。
また、一部が流通していても、出荷規格や品質のばらつきが有ることから、広域普及には課題があります。
「自家不和合性がない」ことから、交配育種は難しいとされています。
参考 野口のタネ 【のらぼう】
https://noguchiseed.com/yasai/norabou.html
「自家不和合性がない」ことが、結果として、安定した自家採種が可能な野菜として生き残ったともいえます。
野口のタネさんは、「花粉汚染に染まらない」という意味で「伝統ナッパのエースとして、世界の脚光を浴びる」かもしれないと結んでいます。
茎の部分まで美味しく、食味が優れていることから、「のらぼう菜」を元に新品種の育成が過去に試されていますが、うまくいかないようです。
※「自家不和合性」については、ルーラル電子図書館を参照ください。
農業技術辞事典 自家不和合性
https://lib.ruralnet.or.jp/nrpd/#koumoku=12138
つまり、自家受粉してしまう確率が高いので、雑種が生まれにくいのです。
【 緑色 と 赤紫色の 違い 】
気温が低くなる環境では、本来緑色の「のらぼう菜」が、赤紫になることがあります。
異常ではなく、寒さによってアントシアニンを生成するので、赤紫色になります。
むしろ、この方が甘味を蓄えて甘味を増すようです。
ちなみに、写真の個体は、どちらも滋賀県産です。
【 食べ方 】
しおれやすいので、早めに下茹でしてしまいましょう。冷凍もできます。
塩少々。沸騰した、たっぷりの湯に、茎のほうから入れて茹で始めます。常時強火で、数十秒後、全体を沈めて数十秒。
あとは冷水に落とし、絞って切り分ければ、冷凍できて、いつでも使えます。
太さにもよりますが、食感を残したい場合は短めに茹でましょう。
おひたし、和え物、煮びたし・・・シンプルな食べ方は、飽きの来ないメニューです。
JAあきがわ 「のらぼう菜レシピコンテスト」
ダウンロードできます。
美味しそうなメニューいっぱい。参考にしてみて下さい。
http://www.ja-akigawa.or.jp/yasai/norabounarecipe.pdf