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エンドウマメ えんどうまめ 豌豆 のらまめ
pea
科:マメ科 Fabaceae
亜科:マメ亜科 Faboideae
属:エンドウ属 Pisum
種:エンドウ P. sativum
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原産地は不明で諸説あります。シリア、イラン周辺(メソポタミア文明のあった場所)なのではとされています。古代エジプトツタンカーメンの副葬品から発見されたとされます。いずれにせよ、相当古くからあるお豆。
7世紀から9世紀にかけ行われた遣唐使が、日本に持ち込んだとされますが時期は はっきりしません。江戸期になって、栽培が始まり、明治になってさかんに作られ、欧州へ輸出もされていたそうです。
「赤えんどう」「青えんどう」「白えんどう」があります。日本では、乾燥した青えんどう(うぐいす餡や煮豆に)、赤えんどう(蜜豆や大福に)が用いられます。
エジプトで発掘されたとされる紫エンドウもあります。ロマンある話としては面白いですが、根拠が無いと言ってよいでしょう。
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完熟乾燥豆としての利用のほか、未熟な状態を食べます。ここでは、その青果用の話が中心。
未熟な莢(さや)のうちに食べるのが、「サヤエンドウ」。
完熟しない柔らかいうちに豆だけを食べる、「グリーンピース」や「碓井(うすい)豆」が、「実エンドウ」。
つまり、もともとは同じ種類で、収穫の早い遅いで呼び名が変化しています。
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赤花種と白花種があります。白花のほうが多収ではとの意見もありますが、大きな違いはないように思います。元々は赤い花だったようです。実エンドウやスナップえんどうは白花ですので、栽培上区別をするには赤花種を利用するという手もあるようです。
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メンデルが「エンドウマメ」を使って、「優劣の法則」を発見したのも、エンドウが人工授粉に向いていたからです。マメの仲間の花は5枚の花びらがあります。大きなものが「旗弁」その下に「翼弁」、中に「竜骨弁」があって、竜骨弁が常に閉じているので、めしべ・おしべに、昆虫が入り込めない構造になっています。自家受粉植物です。
京都市立紫野高等学校生物教諭 矢嶋正博氏 youtube 「花の解剖 カラスノエンドウの花の解剖 高校生物実験」動画で解説しています。すごい先生ですね。子房の拡大写真もあります。
https://www.youtube.com/watch?v=4FLYfTzNRcs
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人工的に品種改良しやすかったエンドウマメは、色々出回っていて、同じエンドウマメなの?と思うような、進化をし続けています。
キヌサヤよりも、ひとまわり大きい「オランダえんどう」は、カナダから導入されたとされています。仏国大莢、オランダ、ニムラ大莢オランダなど。交配に、大莢えんどうがあります。
砂糖えんどうは、エンドウマメのうち、若い莢(さや)ごと食べるえんどう豆の 一種。甘くて、食感もとても良いですね。
スナップえんどう(Snap pea)は、1970年代アメリカからの流入。あっという間に人気になりました。日本で売り出すときに、サカタのタネが、「スナックエンドウ」の名前にしたので、長らく、スナップとスナックが混在することになりました。
長いさやを持った、ロングピースはとても甘い実えんどう。
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伝統野菜関連
碓井豌豆(うすいえんどう)(誉田碓井)は、大阪羽曳野市の碓井地区の地名をとっています。
明治時代にアメリカから導入されたBlack Eyed Marrowfatというむきみ用えんどうの品種を、碓井地区で挿入したのがはじまりとされます。完熟すると、豆の目の部分が黒くなる白花種。平成20年に「なにわの伝統野菜」として認定。
さやは食べない、「実えんどう」で、甘さが強くて、えんどうごはんは、春を知らせるメニュー。卵とじやかき揚げもいいですね。
ちなみに誉田碓井えんどうは、限られた生産者だけが種の保存をしている特別なものです。入手困難。「うすいえんどうを守る会」が種の保存活動を続けています。
現在の大産地和歌山県では、「紀州うすい」という改良種がメインです。「紀州うすい」は地域団体商標を取得しています。日高や紀州中央あたりが大産地。
5月4日のみどりの日が「うすいえんどうの日」とされています。関西圏以外では、あまり知られていないかもしれません。
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莢(さや)は通常食べないうすいえんどうですが、これを食べる強者の投稿も多いです。面倒でなければトライしてみては。
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