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アンコール アンコールオレンジ
Encore
1954年 カリフォルニア生まれの柑橘。
カリフォルニア大リバーサイド校柑橘研究センターのH.B. フロスト博士が育成した柑橘。
同僚のJ.W. キャメロンと R.K. スーストが選抜し1965年に発表。
「キング(King)」×「地中海マンダリン(Willowleaf)」の交雑。
あまりに美味しくて、もう一回食べたい!ので「アンコールencore」の名がついたとか。
日本には1969年(昭和44年)に農水省が導入しています。
その後、各地に広まりました。
ちょうど、ミカン価格の大暴落(1968~1972頃)と時期が一致しています。
温州ミカンの代替作物としても広まったのでしょう。
【 優秀な親品種としての存在 】
鮮やかで少し濃いオレンジ色の外皮は、つるつるして、テカリがあります。
濃厚で良食味、香りも強く個性的なことから、けっこう多くの親品種として使われています。
しかも美味しい!ので、いくつものヒット商品の親になっています。
せとか 「清見×アンコールNo2」×「マーコット」
津之輝 「清見・興津早生 No14」×「アンコール」
津之望 「清見」×「アンコール」
麗紅(はまさき) 「清見・アンコールNo.5」×「マーコット」
あまか 「清見」×「アンコール」
ひめのつき 「アンコール」×「日向夏」
西南のひかり 「アンコール・興津早生No.21」×「陽香」
「アンコール」は単胚性種子。カンキツには多胚性種子のものが多いので、貴重。
種の胚が1つなので、交配すれば、確実に一定の結果を出せることから、種子親としても有望です。
花粉親としても使われていますね。
通常種ありです。わりと多いほうです。
種がまったく無いものも以前購入しています。和歌山産のもの。今でも何が違うのかわかりません。
【 国内の栽培状況 】
農水省特産果樹動態量さでは、S56年から記録が残っています。
これほど美味しい柑橘なのに、栽培面積は大きく減少しているのが現状です。
昭和60年に64haあった栽培面積は、令和2年の統計では7haにまで減っています。
付加価値の高い後発品種に転換が進んでいるというのが現状。
近泉 惣次郎さん(愛媛大)の論考 参考にどうぞ。
https://www.agr.ehime-u.ac.jp/education/img/2018/523.pdf
こはん症(虎斑症)が栽培上の課題だったようで、日照部比較、被覆比較などのデータを見ることができます。ハウス栽培むき。おいしくても広がらない理由は、いまでは解明され対策されているのが判ります。
現在の大産地は愛媛県。
なお、米国では旬が5月からで、露地栽培が可能なようです。
国内の旬は、ほぼハウスもので3月から約1か月ほど。
一定のファンは掴んでいると思いますが、今後は希少扱いになるかもしれません。
価格は引き続き高値推移かと思います。
【 じっさいに食べてみた 】
つるつるした外皮。きれいな濃いオレンジ色。
ゴワゴワとした薄い皮で、皮むきはむつかしくなく、するすると剥けます。
じょうのう膜(うす皮)は薄く、食べることができます。
香りも良く、温州ミカンと全く違う種類の満足が得られます。
濃厚な甘さをもっていて、果肉もトロ感のある、やわらかな果肉で、とても上質。
種はけっこう出てきますが、モグモグしながら、ペッと出してください。
なるほど、encoreしたくなる味わい。
種をペッと吐き出すのも、さほど苦にならない、食べて楽しい柑橘です。