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新甘夏|心にチクっとささるワードで作る「ちくわPOP(ちくわぽっぷ)」|農産物直売所やスーパーの青果売り場の活性化に!農に特化したPOPが無料!!

新甘夏

カテゴリ:くだもの

サンフルーツ、新甘夏、田の浦オレンジ、ニューセブンなどいろいろな名前で出ています。

ファイル名:202104241_001.jpg

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新甘夏  サンフルーツ  (ニューセブン)(田の浦オレンジ)

 

1962年 熊本県芦北郡の山崎寅次さん園地で見つかった、「甘夏」の枝変わり。

品種登録はされず、各地に広まって、いろんなブランド名で出荷されるようになっています。

サンフルーツ(愛媛)

ニューセブン(静岡)

田の浦オレンジ(和歌山)

2023現在では混乱の原因となっているのか、それとも作付けが減少したのか、サンフルーツという別名だけが独走中のようです。

「サンフルーツ」は、とても果実の個性をうまく表した名前のように感じます。

「新甘夏」が、単に「甘夏」として販売されるケースもあるようで、厄介です。


 

甘夏と比べると、甘味が強く感じられる点と、皮が比較的つるつるしてデコボコ感が少ない特徴があります。

外観の違いの点では、わずかです。食べると確かに甘さが違います。


 

【 夏みかん 甘夏 新甘夏 について 】
 

柑橘の原産は諸説ありますが、柑橘の権威 田中長三郎氏は、カンキツ属の原生中枢はインド東部のヒマラヤ山麓からアッサムにかけての地域としています。

 

古来の日本に原生していたのは、「タチバナ」のみとされます。

そのほかは、その後流入してきたもの、および 交雑ということになります。

人が持ち込んだ、とは限らないところが、面白いところです。




■ナツダイダイ(夏みかん)


 

「夏みかん」は、漂着した果実の種子から生まれたものとされます。

氷筍和名は、ナツダイダイ(夏橙)(夏代々)。

漂着した場所は、山口県長門市青海島。日本海側にぽっかり浮かぶ、小さな島。

大日比(おおひび)の海岸に漂着します。拾ったのは、西本於長(おちょう/ちょう)さん。

1704年のこととされています。

庭に種を撒いて育ったのが、夏みかんの始まりとされます。

 


柑橘は、実をつけるのが冬にかけてですが、この柑橘は、酸味が強いので、酸抜けする夏に食べられることから、「夏」の「橙」と呼ばれたわけです。

科:ミカン科 Rutaceae

属:ミカン属 Citrus

種:ナツミカン C. natsudaidai

学名も「Citrus natsudaidai」ですね。

長門市青海島仙崎に、原樹が残っていて、1927年に国の天然記念物となっています。

 


ただ、当初酸味が強かったからか、酢の代用として用いられたようです。

あくまで裏庭で自家消費程度の栽培だったようです。

 

明治以後になって、維新で無職となった武士が栽培を始めたほか、苗木は各地に広まります。

偶発的な変異種も色々残っています。

 

 


■カワノナツダイダイ(甘夏)

 


各地に広まった夏みかん。

時代は変わって、昭和10年のこと。変異種が見つかります。

大分県津久見市の川野豊氏の園地で植えられていた、カラタチ接木の夏みかんの中に、減酸の早い変異種(枝がわり)を見つけます。最初に見つけたのが、カラスと子供たちだったそうです。

川野氏はこれを選抜して昭和25年に品種登録しました。

川野氏の名前をとって、「川野夏橙(カワノナツダイダイ)」と名付けられます。

 


「甘夏」「甘夏みかん」と呼ばれている柑橘の誕生です。

酸味がすくなく、甘味も強いため、市場受けも良いことから昭和30年ごろから、ナツダイダイは、川野夏橙に切り替えがすすんでいきました。

病害虫や寒さに強く、無農薬でも栽培しやすいことから、鹿児島、熊本、愛媛、和歌山などで大規模に栽培が広がります。

市場でも、爽やかな甘味と香りの夏みかんは、一気に人気品種になりました。

昭和を一世風靡した「柑橘王」です。


しかし、時代の流れに伴い消費動向も変化します。

昭和46年6月グレープフルーツの輸入自由化圧力で、その存在が希薄となります。

嗜好も変化し、うす皮ごと食べられ、甘さの強い種なし柑橘に人気が集まります。

甘夏の栽培面積は、1980年代は1万1千haありました。平成18年データでは1700haと、約六分の一まで減少しています。しかし、一方で、ぷりぷりした、爽やかな甘さは、いまだ根強い人気がある柑橘です。

 


ナツダイダイは多くは切り替えられ、現在 萩市のほか、温暖な愛媛、和歌山、静岡に残っているようです。ナツダイダイの生産量は甘夏の5%ほどしかなくなっています。つまり、希少な存在。


なお、夏みかんと甘夏は、外観上の違いはほぼ無く、個体差もあって見分けることは難しいと思います。

 

 


■新甘夏 と、他の変異種・交配種

 


その後も、「カワノナツダイダイ」の変異、交配が生まれます。

 


その一つが「新甘夏」です。

デコボコが少な目で、ツルリとした外観。

熊本県田浦町(現:芦北町)の山崎寅次氏が見つけた、「カワノナツダイダイ」の枝変わりです。

甘夏よりも、甘みが強くて香りもよく、より美味い。1962年のこと。

「新甘夏」が、単に「甘夏」として売られたりするケースがあるようです。

先述のとおり、複数の名前で出ています。

「新甘夏」もしくは、「サンフルーツ」として売られていることが多いと思います。

 


 

【 一旦整理しておきましょう 】

 


手短に、まとめます。

 


江戸期に、山口県長門市青海島の西本さんが拾って育てたのが、「ナツダイダイ」=「夏みかん」

昭和10年、「夏みかん」の変異株を大分県の川野豊氏が見つけた「カワノナツダイダイ」=「甘夏」

昭和37年、「甘夏」よりも甘くて外観のよい枝変わりを熊本県田浦町の山崎寅次氏が発見。「新甘夏」。

 


 

もうひとつお伝えしたい事として、流通量も多い、「スルガエレガント」があります。

カワノナツダイダイと文旦の交配で、品のあるとても美味しい柑橘です。

誕生の背景は諸説ありますが、1981年商標登録されています。


カワノナツダイダイや、新甘夏の枝変わりは、いくつかありますが、あまりメジャーではありません。

小売り現場では、そこまで知る必要は無さそうです。



【 新甘夏 の 味わいかた 】

 


酸味よりも甘さが際立つ、味わいの爽やかな柑橘。

 


皮が厚いので、まずは面倒です(笑)。

手で剥けないわけではないですが、力が入ってきれいには剥けないです。

 


包丁や、「ムッキーちゃん」などの力を借りたほうが良いと思います。

 


皮むきしたあと、、皮と実の間にある、アルベド層があります。

苦味があって、出来れば食べたくない部分でもあります。

 


じょうのう膜は、厚みがあって、食べられなくはないのですが、苦味のあるアルベドが邪魔なので、結局、ひたすら薄皮をムキムキして食べることが多いと思います。

あっさり、包丁でグリグリと皮むき要領で厚めに剥いたほうが簡単かもしれません。

 


甘味がしっかり感じられるだけでなく、香りや酸味もたっぷり感じられて、なかなか美味しい果実です。

食べやすいとは言えません。

晩柑は、美味しいものが多いですが、食べにくいところが難点です。

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くだもの柑橘サンフルーツ新甘夏田の浦オレンジニューセブン

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