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なつひめ 梨 島根県産
カテゴリ:くだもの
交配の妙を感じます。
島根を代表する「二十世紀」とも関連しますので、この点も後述。
ファイル名:natsuhime-20210801.jpg
なつひめ 夏姫
鳥取県が生んだ、早生の青梨。
赤梨「新甘泉」と同じ交配で、選抜過程で2品種が生まれました。
どちらも、鳥取県オリジナル品種として当面流通します。
両方とも早生ですが、「なつひめ」の方が、やや早く市場に投入されます。
栽培面積は、「なつひめ」は「新甘泉」に比べ現状はとても少なく、希少の部類になります。
【 品種登録情報 】
この品種は農水省に登録されています。抜粋し転載。
作物区分 果樹
農林水産植物の種類 Pyrus L. (和名:ナシ属)
登録品種の名称 なつひめ (よみ:ナツヒメ )
登録年月日 2007/03/23
育成者権の存続期間 30年
品種登録者の名称及び住所 鳥取県 (680-8570 鳥取県鳥取市東町一丁目220番地)
この品種は、「筑水」に「おさ二十世紀」を交配して育成されたものであり、果実の形が扁円、果実の大きさがやや大、果皮の色が黄緑の育成地(鳥取県東伯郡北栄町)では8月中旬に成熟する早生種である。・・・果実の大きさはやや大、果皮の色は黄緑、果点の大きさは小、密度は中、果面の粗滑は滑、果梗の長さはやや短、太さは太、肉梗の有無は有、果芯の形は短紡錘、大きさは中、果肉の色は白、硬度はやや軟、粗密はやや密、甘味はやや高、酸味はやや強、果汁の多少は多、種子の大きさは中、形は卵である。開花始めは中、成熟期は早で育成地においては8月中旬、裂果は無である。「豊水」と比較して、果皮が黄緑であること、成熟期が早いこと等で、「ゴールド20世紀」と比較して、枝の色沢が濃茶褐であること、成熟期が早いこと等で区別性が認められる。
【 鳥取県で生まれた 梨品種と 略歴 】
農水省に、現在 鳥取県の名で品種登録があるものを列記しておきます。
年度は登録年度
・鳥幸(とりこう) 1991
・寿新水(ことぶきしんすい) 1997
・おさゴールド 1997
・なつひめ 2007
・新甘泉(しんかんせん) 2008
・涼月(りょうげつ) 2008
・えみり 2008
・夏そよか(なつそよか) 2008
・夏さやか(なつさやか) 2008
・秋甘泉(あきかんせん) 2009
鳥取県の梨出荷量は、国内生産量の6~7%ほどで、上位に位置します。
他県にはない、オリジナル品種導入に積極的に取り組んでいます。
ベースに、二十世紀梨出荷連続20年全国一という誇りが感じられます。
じつは、「二十世紀」は、現在につながる、重要な品種です。
島根県と二十世紀について、ヒントになる動画があります
NHK for school 「考える鳥取 二十世紀梨の歴史~考えるきっかけ編~」
https://www2.nhk.or.jp/school/watch/clip/?das_id=D0005311553_00000
小学生向けの、アニメ仕立ての動画で、見やすいです。
「二十世紀梨の父」と呼ばれる、北脇永治(きたわきえいじ)氏。100年以上前の明治時代の話です。
農家の経営安定のため、千葉生まれの二十世紀を鳥取県内に広めたこと。
その後も、園芸学者、菊池秋雄(きくちあきお)氏らの努力もあって、新品種の育成に力が注がれます。
関わった沢山の人たちのスピリットが、二十世紀だけでなく、後継品種として現在につながっていることは間違いないでしょう。
強い絆を大切にし、先達の感謝を忘れない、粘り強い県民性が垣間見れます。
二十世紀は、現在流通する、多くの梨品種の親として、とても偉大な存在なので、特記しておきたいです。
エースパック なしっこ館(鳥取二十世紀梨記念館)に展示されていた、よくわかる二十世紀の後継品種のパネルを引用させて頂きます。
赤梨と青梨両方が生まれているのが判りますね。
子では「新興」や「愛宕」、孫世代では「幸水」「豊水」といった、重要な品種の誕生につながっています。
【 たべてみた印象 】
この個体はやや黄色みがあって、おしりが茶色くなっていました。
特徴なのか不明です。
持った感じは、すこし柔らかい梨だな、という印象。
果肉は、粗い物ではなく、しっかりとした緻密な充実感があります。
たっぷりの果汁。
断面も、水分が多いです。
シャリシャリした心地よい食感。
水っぽいわけではなく、しっかり甘味を感じます。
酸味はあるのですが、さほど気にならないので、「酸味がすくない」という評が多いのかと思います。
梨らしい香りも感じられます。
交配の妙というのでしょうか。
赤梨「筑水」ゆずりの濃厚な甘さ。
青梨「おさ二十世紀」ゆずりの、瑞々しいシャリ感。
両方が楽しめるって、嬉しいですね。
鳥取県内でも、栽培面積は少ないことから、希少な存在。
そして、甘くてさわやか。
今のうちに楽しんでおきたいですね。