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ファンタジア ネクタリン TX
カテゴリ:くだもの
栽培面積の多い品種ですが、市場に出回る期間は短いです。
ファイル名:tx-20220903.jpg
ネクタリン
科:バラ科 Rosaceae
属:モモ属 Amygdalus
種:モモ A. persica
変種:ズバイモモ var. nectarina
【 ネクタリン という分類 】
モモは種が、A. persica で、ネクタリンはズバイモモと呼ばれる、「モモの変種」であるということになります。
大きな違いは、「毛がない」ことで、外観でも区別しやすいです。
うぶ毛がないことからツヤがあるので「油桃(ゆとう)」と呼ばれたり、椿桃(つばいもも・つばきもも)、裸桃などとも呼ばれます。
椿桃は、赤く染まることから呼ばれるようになったとのことですが、じつは、果肉が白色のものもあるようです。
白肉種には「薬罐」「弥次衛門」「大長油桃」といった在来もあるそうですが、お目にかかることは極少ないでしょう。
戦後輸入された品種は、黄肉種が多かったので、結果として果肉色が黄色っぽいものが主になっています。
国内での流通は、表面が赤みの強い色で、種周辺にも、赤みがさすものが多いです。
酸味の強い特徴をもったものよりも、甘さのあるスイート種が店頭も多くなっています。桃をはるかに超える糖度のものも多いことから有望視されています。
外観ではモモよりむしろスモモに似ていますが、あくまで「ネクタリン」。
「スモモと何がちがうの?」
「ネクタリンって何だっけ?」には、店頭で答えられるようにしておきたいですね。
ブログで、「「プラム」「ネクタリン」と「アプリコット」と「プルーン」 その違いってご存じですか?」を掲載しています。
https://tikuwapop.com/blog/2021/07/15/prum-apricot-prune-difference/
ぜひ参考にしてください。
【 ネクタリンの原産地と 国内品種 】
モモの原産地は、中央アジアトルキスタン。インドの北、ロシアの南部あたりです。
モモの中から、自然に変異してできたのが、ネクタリン。
世界で広く栽培されていますが、日本の気候では栽培がむつかしかったようです。
必然的に、栽培適地は限られてきます。
戦前、静岡清水試験場で、日本の気候に合うように改良された「興津」(かんきつではありません)が生まれます。いくつかの交配親にもなっている品種です。
現在は、「ヒラツカレッド」「シズクレッド」「チヨダレッド」「ヒタチレッド」「晶光(しょうこう)」「峯村」「反田」「黎王」「黎明」などが品種登録されています。
もっともメジャーな品種は、秀峰かと思います。
ちなみに、秀峰は品種登録されていません。
あまり品種を明記されずに売られているかもしれません。
ネクタリンの栽培面積ベースの資料を整理してみます。
農水省が栽培面積を提供しています。
ネクタリン栽培に取り組んでいる県は 実は少ないです。
栽培環境を選ぶ果樹なのでしょう。
店頭でも、ネクタリンとしか表示がなく、品種を明示しないで売られていることも多いです。
【 ファンタジア について 】
ファンタジアは、案外以前から日本に導入されていて、判っている範囲で50年は経過しているようです。
上記の表にあるように、「秀峰」に次いで、栽培面積が多い品種でもあります。
アメリカ カリフォルニア生まれの、米国農務省の育成品種。
「コールドキング」と「レッドキング」の交配・育成とされます。
出回る期間は、8月中旬くらいから、9月初旬までと、案外短いので、買いそびれないようにしたいです。
写真のものは市場流通の長野県産。かなり大玉で、大玉桃に負けない大きさでした。重量感のあるネクタリンです。
例によって、赤味のある皮に、うぶ毛のない外観。
手で持った感じは、堅さがあって、リンゴのような感触です。
香りもよく、切る前から期待がふくらみます。香りは、飲料「〇〇ネクター」を思わせるような、独特の香りで心地よいです。
赤道切りをして、クルリとひねると、きれいに種周辺も実ばなれします。
皮ごと食べたほうが、食べやすいだけでなく、個体のもつ旨味も強く感じられると思います。
酸味は強いほうですが、甘味もしっかり感じられて、モモとは違った楽しみがあります。
触った感じでは硬い実ですが、スジっぽさがない果肉で、キメ細やかな果肉の食感が心地よいかったです。
ジューシーさもじゅうぶん感じられます。
甘さを求めるというよりも、甘味と酸味のバランスと、香りの良さを楽しめる品種だなと思いました。
ゴージャスさもあって、今後注目されそうな印象です。